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「惰性〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

惰性の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
、痛々しげに葉子の顔つきを見入って突っ立った。 葉子は、今まで続けていた沈黙の惰性で第一口をきくのが物懶《ものう》かったし、木村はなんといい出したものか迷う様....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
トボトボと歩いていたが、しまいには話の種もつきて、黙々と白い雨足を見つめながら、惰性のように歩いていた。 芳子は、京吉が祇園荘へ行く自分をとめたのは、グッドモ....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
く頭の中の曲柄《クランク》や連動機《ギヤ》が仕事を止めてしまって、今では、大きな惰性で動いているとしか思えないのである。まったく、その人達の生理の中には、すでに....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
った同級生の前では、どんな無茶なことでも言えるのだ。だから、もうあとの交際は半分惰性のようなものだった。実は、少しうんざりしていたのである。ただ、いやな父親の顔....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
いう無事の日暮しの中に、一日でも安きを偸もうとしているのだ。これが社会生活に強い惰性となって膠着している。そういう生活態度に適応する為めには、お前のような行き方....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
、せいぜいアフリカの植民地だけです。大英帝国はもうベルギー、オランダなみに歴史的惰性と外交的駆引によって、自分の領土を保持しているところの老獪極まる古狸でござい....
デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
動きの取れなくなった被害者の体は、そのまま天空へ引っ張り揚げられます。バルーンが惰性的に上昇し切ってロープが強く張り切った時に、彼の呼吸は止まり、肋骨は折れ、頸....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
い入江にはいると、不思議に風がなくなってしまった。少しの横揺れもしない白鮫号は、惰性の力で滑るように動いている。恰度この時、いままで海面にギラギラ反射しながら照....
「別居」について」より 著者:伊藤野枝
う事に当惑しきっていました。そうしてそういう状態が長く続きました。それがとうとう惰性を持つようになりました。何かのキッカケを待たなくては、この変調を整えることが....
四月馬鹿」より 著者:織田作之助
ているのかも知れない。ところが、それほど銭湯好きの彼が何かの拍子に、ふと物臭さの惰性にとりつかれると、もう十日も二十日も入浴しなくなる。からだを動かすとプンとい....
荘子」より 著者:岡本かの子
すっかり衰えて形式だけの存在になったが、その都である洛邑はやっぱり長い間の繁昌の惰性もあり地理的に西寄りではあるが当時の支那の中心に位し諸国交通の衝路に当りつつ....
」より 著者:岡本かの子
誰が居るとも思わなかった門内に異常な女の姿を見て学生はちょっとたじろいだが、足は惰性で無遠慮に女の近くまで行ってしまった。そして女の妙なたたずまいから発散する一....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
三 日本堤まで人力車で飛ばして、そこから国太郎はぶらぶら歩き出した。すべてが惰性と反撥で行動しているように思える自分について、もう少し考えたかった。青楼へ上....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
に組立てられた因縁の結果であるいろいろの運命への便宜は、どちらかと言うと消極的、惰性的のものであって、ともすれば安易に付き、運命を腐らす危険があります。 これ....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
に於ける民族協和運動は今日まで遺憾ながらまだ成功してはいない。明治以来の日本人の惰性の然らしむるところ、一度は陥るべきものであろう。しかし一面建国の精神は一部人....