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惰気
「惰気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
惰気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
湯の、あの長閑な雰囲気は、彼の様に所在のない人間が、贅沢な眠から醒めたのちの体の
惰気を、そのまま運んでゆくのに最も適した場所であった。 それに、昨日今日の日和....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ころが、次の瞬間法水の顔にサッと光耀が閃いていて、突如鉄鞭のように、凄じい唸りが
惰気を一掃したのである。彼は、甘そうに莨を二、三度吸うと云った。
「冗談じゃない....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
いかなる厳冬といえども一度も休んだことのないかれの日課である。冷水によって眠気と
惰気とをはらい、さわやかな朝日をおがんで清新な英気を受ける。 だがこの日はいつ....
「鏡心灯語 抄」より 著者:与謝野晶子
敗させた病毒の府である衆議院の崩壊したことは、独り政界のみならず、あらゆる社会の
惰気と腐敗とを一掃して、日本人の生活を積極的に改造する大正維新の転機が到来したこ....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
後大分日が経ったが、幕軍は少しも盛り返えす様子もなく、従って我藩の軍隊もいよいよ
惰気を生じた。けれども幕府から出陣の命は蒙っているので、僅に一里半隔てた城下なが....
「土地」より 著者:豊島与志雄
って来て、また何時しか遠くへ去ってしまうのだった。そういうことが村の若者の心に、
惰気と不安定とを知らず識らず齎していた。 「おいらが若え時分には、みんな地面にか....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
く、朝は未明に起きて油を売り、夜はわらじのままで板の間に腰かけて夕食をしたため、
惰気やねむけの催さぬうちに、また暗の中にかけ出して俥を挽き、粒々辛苦実にいうに忍....
「一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
ャンコにされ、青春の泉を涸々にしてしまったというのである。 この告白は、たぶん
惰気と暑さで、諸君を困らしめるにちがいない。それほど、印度も暑いが、この話もそう....
「予言」より 著者:久生十蘭
り変って、三角波が白い波の穂を飛ばし、ミストラル気味の寒い尖った風が、四十日目の
惰気をいっぺんに吹きはらってしまった。安部は急に食慾が出て、久し振りに食堂へでか....
「赤坂城の謀略」より 著者:国枝史郎
寄せて来ようとはしなかった。 大将公綱を初めとし、紀清両党の郎党たちも、追々|
惰気を催して来、しかも思い切って心を許し、眠に入ることが出来なかったので、身心次....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
しまう。手を引くばかりでなく反感を持つようになる。沼南統率下の毎日新聞社の末期が
惰気満々として一人も本気に働くものがなかったのはこれがためであった。 松隈内閣....
「西航日録」より 著者:井上円了
端なり。ホンコン以来、日一日より炎威相加わり、宛然三伏を迎うるがごとし。ときどき
惰気眠りを促しきたり、筆を執るにものうし。ただ終日、甲板上に横臥するのみ。余よっ....
「三国志」より 著者:吉川英治
どって来て、額の汗を押し拭いながら復命した。 「蜀陣の旌旗は依然、粛として寸毫の
惰気も見えませぬ。また、深夜というのに、孔明は素輿(白木の輿)に乗って陣中を見ま....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
って来た。 陽に遠いので、夏の日も涼しくはあるが、洞然として中は薄暗い。夜来の
惰気と昏迷を、むうっとするばかり澱ませている。そしていま議論も尽き果て、さっきか....
「それから」より 著者:夏目漱石
がした。揺られながらも今夜の睡眠が苦になった。彼は大いに疲労して、白昼の凡てに、
惰気を催おすにも拘《かか》わらず、知られざる何物かの興奮の為に、静かな夜を恣《ほ....