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惰眠
「惰眠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
惰眠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
酔っていた、お君さんの幸福な心の中には、そこに潜んでいた実生活が、突如としてその
惰眠から覚めた。間髪《かんはつ》を入れずとは正にこの謂《いい》である。薔薇《ばら....
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
対する反証として、よくロシアの啓蒙運動が例を引かれるようだ。ロシアの民衆が無智の
惰眠をむさぼっていたころに、いわゆる、ブルジョアの知識階級の青年男女が、あらゆる....
「星座」より 著者:有島武郎
いながらなお読みつづけた)とかくは時勢転換の時節到来と存じ候男女を問わず青年輩の
惰眠《だみん》を貪《むさぼ》り雌伏《しふく》しおるべき時には候わず明治維新の気魄....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
腰巻一枚、大の字|也《なり》になり、鼻から青提灯《あおぢょうちん》をぶら下げて、
惰眠を貪《むさぼ》っている醜体《しゅうたい》は見られたものではない。試みに寝惚《....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
。階級といい習慣といい社会道徳という、我が作れる縄に縛られ、我が作れる狭き獄室に
惰眠《だみん》を貪《むさぼ》る徒輩《とはい》は、ここにおいて狼狽《ろうばい》し、....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
間は驚異の目を※って怪しんだゝけで少しも文学を解していなかった。議会の開けるまで
惰眠を貪るべく余儀なくされた末広鉄腸、矢野竜渓、尾崎咢堂等諸氏の浪花節然たる所謂....
「俳句の型式とその進化」より 著者:寺田寅彦
条件が具備しているという実証が印銘されているからである。 以上は新型式の勃興に
惰眠をさまされた懶翁のいまださめ切らぬ目をこすりながらの感想を直写したままである....
「婦人指導者への抗議」より 著者:与謝野晶子
博士は「文化主義の論理」という論文の中で「あるいはあるがままの状態に妥協をなして
惰眠を貪らんとする保守主義、退嬰主義、凡俗主義、常識主義、乃至好都合主義や……単....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ゃないの?」 それをも頓着なしに、兵馬は、 「起きろ、起きろ!」 ちっとも、
惰眠《だみん》の隙を与えないものだから、女は、むっくりと起き上りました。 ああ....
「現代小説展望」より 著者:豊島与志雄
に書かれた一寸した落書が、人々に読まれ註釈され論議されて、その影響により、今まで
惰眠を貪ってた寄生的な町が、俄に活動的な生産的な町に変る。「某人の死」では、単に....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
一歩ふみ出す時、その肩の荷はもはや「新らしき日」となっているであろう。 虚偽と
惰眠とに対して苦闘しつつ、真実へ向かって勇敢に突進する、解放せられたる自由なる魂....
「南島譚」より 著者:中島敦
の柱々に彫られた奇怪な神像の顔も事の意外に目を瞠《みは》り、天井の闇にぶら下って
惰眠を貪っていた蝙蝠《こうもり》共も此の椿事《ちんじ》に仰天して表へ飛び出した。....
「獅子は死せるに非ず」より 著者:小栗虫太郎
れる。しばらくは、光りのくるまで眠り続けるだろう。 無風の、批評のないなかで、
惰眠を貪ぼるだろう。 しかし、「シュピオ」の獅子は、決して死んではいない。 (「シュピオ」一九三八年四月号)....
「人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
来るのであるならば、人類の精神はもはや研究の刺戟などは失ってしまい、むしろ退いて
惰眠を貪るかまたは単に放埒な夢と取りとめもない幻影を楽しまざるを得ないことになる....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
ろしていた無数の浮浪者たちは、懶げな眼を、彼の姿へあつめたが、またすぐ元の無力と
惰眠のかたまりに返って、黒々と陽なたに闇を作っていた。 ――すると、その中に、....