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想う
「想う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
想うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
も奇俊《きしゅん》王家郎《おうかろう》と称されたと云うから、その風采《ふうさい》
想うべしである。しかも年は二十《はたち》になったが、妻はまだ娶《めと》っていない....
「私の父と母」より 著者:有島武郎
いるのである。
要するに、根柢において父は感情的であり、母は理性的であるように
想う。私たちの性格は両親から承《う》け継いだ冷静な北方の血と、わりに濃い南方の血....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
星模様の竪ネクタイ、金剛石の針留の光っただけでも、天窓から爪先まで、その日の扮装
想うべしで、髪から油が溶けそう。 早や得も言われぬ悦喜の面で、 「やあ、」と声....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
なるのですか。陸と海と、国が違い、人情が違っても、まさか、そんな刑罰はあるまいと
想う。僧都は、うろ覚えながら確に記憶に残ると言われる。……貴下をお呼立した次第で....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
、腰を極めて、爪先で、ついつい、 「ちょっと、こちらへ。」 と古畳八畳敷、狸を
想う真中へ、性の抜けた、べろべろの赤毛氈。四角でもなし、円でもなし、真鍮の獅噛火....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
、矢声を掛けて駆昇った事がある。…… 呼吸が切れ、目が眩むと、あたかも三つ目と
想う段の継目の、わずかに身を容るるばかりの石の上へ仰ぎ倒れた。胸は上の段、およそ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
史は、いつも小机に衣紋正しく筆を取り、端然として文章を綴ったように、誰も知りまた
想うのである。が、どういたして…… ――やがてこのあとへ顔を出す――辻町糸七が....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
高し厳しと見し国麿が門の冠木門も、足|爪立つれば脊届くなり。 さてその国麿はと
想う、渠はいま東京に軍人にならむとて学問するとか。烏帽子被りて、払掉りしかの愛ら....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
なって。米は鍵屋あって以来の上客を得た上に、当の敵の蔵屋の分二名まで取込んだ得意
想うべく、わざと後を圧えて、周章てて胡乱々々する蔵屋の女に、上下四人をこれ見よが....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
茂から、額を出して、ト差覗く状なる雲の峰の、いかにその裾の広く且つ大なるべきかを
想うにつけて、全体を鵜呑にしている谷の深さ、山の高さが推量られる。 辿るほどに....
「寡婦」より 著者:秋田滋
一生の不幸もみんなこれがもとなんです。私がまだごく若かった頃のことで、そのことを
想うと、いまだに胸が一ぱいになって、考えるたびに私は泣きだしてしまうのです」 ....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
することの多いという実際を感じ得た。 僕が迷信の深淵に陥っていた時代は、今から
想うても慄然とするくらい、心身共にこれがために縛られてしまい、一日一刻として安ら....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
しばしば伝え聞けり。これと事柄は違えども、神田の火事も十里を隔てて幻にその光景を
想う時は、おどろおどろしき気勢の中に、ふと女の叫ぶ声す。両国橋の落ちたる話も、ま....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
は、恐らく生れてはじめてであったろう。 その石壇の処まで来て、詩人が月宮殿かと
想うように、お嬢さんの家を見た時、小ぢんまりとした二階の障子に明がさした。 思....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
の光は有りとは言へ、水面は、空闊にして、暗色四面を鎖し、いよいよ我が船の小なるを
想うのみ。眼に入るものは、二三の漁火の星の如く、遠くちらつくと、稀に、銚子行汽船....