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愁嘆
「愁嘆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
愁嘆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
洋服を着た菊五郎と銀杏返《いちょうがえ》しの半四郎とが、火入《ひい》りの月の下で
愁嘆場《しゅうたんば》を出している所です。これを見ると一層あの時代が、――あの江....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
す、ところがよくよく見ると、刺した相手は渡ならで、当の袈裟御前であったところから
愁嘆場になって幕となるという大物でしたが、黒子の介添え人こそあれ遠藤武者も、袈裟....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
聞き分けられるもののごとくに、ちょこなんと向き合ってすわりながら、器用な身ぶりで
愁嘆のしぐさを演じてみせましたものでしたから、見物人はふたたびまたやんやと喝采《....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
、いつもならそういってたしなめるのが普通でしたが、今度ばかりは名人右門も、伝六に
愁嘆させたままでした。また、そうあるべきが当然です。配下の辰が難に会っていたとは....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
申し合わせてこの狂言をかいたのであろう。なまじいに商売気を出したのと、かの武士の
愁嘆に同情したのとで、自分は二十五両という金をやみやみ騙《かた》り取られたのであ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ぶりながら泣いて口説いた。お山という娘も声をたてて泣き出した。 思いもよらない
愁嘆場《しゅうたんば》を見せられて、半七ももう仮面《めん》をかぶっていられなくな....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
を嘆ずるであろうから。彼らがもはや地上に「永遠の女性」を尋ぬることに倦むに至れる
愁嘆は諸君を動かさずにはやまぬであろう。しかししかしそこに本道と外道とのきわどい....
「極楽」より 著者:菊池寛
るようにと、祈らないものはなかった。従って、おかんが死際に、耳にした一家の人々の
愁嘆の声に、微塵虚偽や作為の分子は、交って居ない訳だった。 おかんは、浄土に対....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
ったので続いて弓之進も立ち上がった。二人は隣室へはいって行く。 「あまり奥方がご
愁嘆ゆえ申し上げ兼ねておりましたが、とても病人は癒りませんな」 「ははあ、さよう....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
です! 彼はまた手の平に隠れる豆ヴァイオリンを持っていて、夜はそれでTOSCAの
愁嘆を弾いて私の涙を誘うのでした。そうして彼は私を伴れて亜米利加へ渡りました。あ....
「美音会」より 著者:佐藤垢石
りを鎮めて、一心に大隅の幅広い顔を見る。この人は一口語ると手布で口を拭う。それが
愁嘆場へ行くと非常に頻繁になってついには手に持った手布を打ち振るようなことをする....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
に彼の良心をついた。エセックスはすっかり崩れた。自恃も自尊心も――すべて痛ましい
愁嘆の氾濫に押し流されてしまった。彼は枢密院の議員諸公に告白したい一事があるとい....
「狐」より 著者:岡本かの子
とであろう。だがここが肝腎なところだ。一体狐にもそういう場合に、人間と同じように
愁嘆があるものか知らん。 ――ご冗談|仰言っては困ります。生きとし生けるものの嘆....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
しなかったのである。こうした慈悲心が窮極するときに、 建暦元年七月洪水漫天、土民
愁嘆きせん事を思ひて、 一人奉と云 ときによりすぐれば民のなげきなり八大竜王雨や....
「特殊部落の人口増殖」より 著者:喜田貞吉
である。昔の子供は疱瘡という大厄を控えていた。旧派の演劇で非業に子を失った母親の
愁嘆場には、往々にして「疱瘡も軽く済ましたものを」という繰り言が伴っている。これ....