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「愁然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

愁然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
運命論者」より 著者:国木田独歩
信造は此処《ここ》まで話して来て忽《たちま》ち頭《かしら》をあげ、西に傾く日影を愁然《しゅうぜん》と見送って苦悩に堪《た》えぬ様であったが、手早く杯《さかずき》....
外科室」より 著者:泉鏡花
伯と、みな立ち会いの親族なり。しかして一種形容すべからざる面色《おももち》にて、愁然として立ちたるこそ、病者の夫の伯爵なれ。 室内のこの人々に瞻《みまも》られ....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
けれどもさ、まことにおきのどくなことをしたねえ、いわば私のためだもの」 美人は愁然として腕を拱《こまぬ》きぬ。馭者はまじめに、 「その代わり煙管の掃除をしても....
婦系図」より 著者:泉鏡花
の、杜若に八橋よ。」 「から衣きつつ馴れにし、と云うんですね。」 と云いかけて愁然たり。 お妙は何の気もつかない、派手な面色して、 「まあ、いつ覚えて、ちょ....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
める音。人影が燈籠のように、三階で立騒いだ。 照吉は……」 と民弥は言って、愁然とすると、梅次も察して、ほろりと泣く。 「ああ、その弟ばかりじゃない、皆の身....
光の中に」より 著者:金史良
りにして生きているのだろうか、私は無道な半兵衛のことを思い出してたとえようもない愁然とした気持になった。いつか洲崎の朝鮮料理屋をおどかして連れて帰ったというのは....
天馬」より 著者:金史良
分っていないんです。つまり尋常でない芸術家が分らんのです」 「そうね」女流詩人は愁然として肯いてみせ、それから不意におほほほと笑い出した。 「いや笑うことではな....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
野北山は蘭医の大家、診察投薬神のような人物、死ぬと云ったら死ぬであろう」弓之進も愁然と云う。 二人は愛児の枕もとからちょっとの間も離れようとはしない。 「それ....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
ざるべし。再び聞かれよ、強いられよ、なお強いられよ。主翁は拒むことあたわずして、愁然としてその実を語るべきなり。 聞くのみにてはあき足らざらんか、主翁に請いて....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
ウチャン。」 と叫べる声、奥深きこの書斎を徹して、一種の音調打響くに、謙三郎は愁然として、思わず涙を催しぬ。 琵琶は年久しく清川の家に養われつ。お通と渠が従....
黒百合」より 著者:泉鏡花
にもう逢いたくはなかったよ。」 と若山は花屋の奥に端近く端座して、憂苦に窶れ、愁然として肩身が狭い。慶造と呼ばれたのは、三十五六の屈竟な漢、火水に錬え上げた鉄....
まぼろし」より 著者:国木田独歩
きますように、』と自分は杯をさした。かれは黙して杯を受けて、ぐいと飲み干したが、愁然として頭を垂れた。そして杯を下に置いた。突然|起って、『いや大変酔った、さよ....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
たかな」 「はい。……いいえ」 と曖昧に云った。そう曖昧に云って置いて、お品は愁然とした。 「そのお方のご用人だとかいうお方が……」 「お前を見初めたとでも云....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
たが、松火の火ですかして見ると、 「やっぱりそうか! もう駄目だ」 こう云って愁然と眼を垂れた。拾い上げたのは小さい帽子で、紛うべくもないジョンの物だ。 帽....
式部小路」より 著者:泉鏡花
思いで聞くに堪えん。が、そこで。」と問掛けて、後談を聞くべく、病室の寝床の上で、愁然としてまず早や頭を垂れたのは、都下京橋区尾張町東洋新聞、三の面軟派の主筆、遠....