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「愚直〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

愚直の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:太宰治
文盲の弟子たちの答一つに頼ろうとしているのである。けれども、ペテロは信じていた。愚直に信じていた。イエスが神の子である事を信じていた。だから平気で答えた。イエス....
駈込み訴え」より 著者:太宰治
てしまえ、私は三日の間に、また建て直してあげるから」ということだったので、さすが愚直の弟子たちも、あまりに無鉄砲なその言葉には、信じかねて、ぽかんとしてしまいま....
古典風」より 著者:太宰治
ます。おゆるし下さい。私は、それを、くだらないと存じました。そうして、そのような愚直の出来事を、有頂天の喜悦を以て、これは大地の愛情だ、とおっしゃる十郎様のお姿....
女の決闘」より 著者:太宰治
しいものが在る。女は玩具、アスパラガス、花園、そんな安易なものでは無かった。この愚直の強さは、かえって神と同列だ。人間でない部分が在る、と彼は、真実、驚倒した。....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
作った。その穴掘り役は寺男の源右衛門と納所の了哲に云い付けられたが、寺男も納所も愚直一方の人間であるので、師匠と俊乗の指図を素直に引き受けた。その設計はとどこお....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
るよ。」 「そんなことを言われると心細い。」 「まあ、賢明で迷っているよりかも、愚直でまっすぐに進むんだね。」 半蔵の寝言だ。 東照宮二百五十年忌を機会とし....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
して直接その衝に当たったことはまだ彼には昨日のことのようでもある。彼半蔵のような愚直なものが忘れようとして忘れられないのは、民意の尊重を約束して出発したあの新政....
花吹雪」より 著者:太宰治
斗会とて陸軍省に出入する新聞記者等の会合なり。席上東京朝日新聞記者村山某、小池は愚直なりしに汝は軽薄なりと叫び、予に暴行を加う。予村山某と庭の飛石の間に倒れ、左....
惜別」より 著者:太宰治
も仕様がなくて、よろしい、そんならばもう乃公は以後、礼のレの字もいうまい、という愚直の片意地が出て来て、やけくそに、逆に礼の悪口をいい出したり、まっぱだかで大酒....
鉄面皮」より 著者:太宰治
束した短篇小説の事などぼんやり考えていたのだけれども、私の生れつきの性質の中には愚直なものもあるらしく、胸の思いが、どうしても「右大臣実朝」から離れることが出来....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
り返しても居なかったが、今朝の逸作が竹越氏に対する適応性を見て、久しぶりで以前の愚直な自分を思い出した。 ――痛っ。 かの女は駒下駄をひっくり返えした。町会....
母の上京」より 著者:坂口安吾
めることもできる。ひどく云へば、悪事の加担をすゝめることもできるほど、子のために愚直な動物的な女であつた。 何事によらず、概ね人の怖れることは、ある極めて動物....
奉行と人相学」より 著者:菊池寛
、強盗は凶悪な面構えをしているし、かたりは、ずるそうな顔をしている。 が、折々愚直そのものと思われるような男がずぶとい悪人であったり、虫も殺さないように見える....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
いると妙なもので彼も雲水社会に多少名を知られるような一人となった。変った修業者、愚直に見える修業者、だが、どこか真面目なところもある。そういった評判だった。そし....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
本民族はどの途にかけても相当のものである。今日謀略を振り廻しても成功せず、むしろ愚直の感あるは徳川三百年太平の結果である。 2、攻撃威力が防禦線を突破し難き事....