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愛しい
「愛しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
愛しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
一通の封書がある。それは、泥によごれ血にまみれてはいたが、目を疑うほどの驚きは、
愛しいマヌエラへ、シチロウ、ザマより――とあるのだ。マヌエラは指先を震わせて封を....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
の玄長様に、乳房を――いいえ、女である事を看破られましたが運のつき、――その場に
愛しい念日様をくくしあげて、女犯の罪を犯した法敵じゃ、大罪人じゃと、むごい御折檻....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
土だけは必ず酒の器に焼いてくれ、 しばらくは息をつこう、酒の香に。 (83)
愛しい友よ、いつかまた相会うことがあってくれ、 酌み交わす酒にはおれを偲んでくれ....
「殺された天一坊」より 著者:浜尾四郎
いつけてくれない哀れな女でございます。昨年の春、自分の腹を痛めた、愛《いと》しい
愛しい子を取り返したい為にお奉行様の前に出ました女でございます。あの時、我が子を....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
願いがございますが、どうぞお聞き下さいまし。」 とまた蚊帳越に打視め、 「お最
愛しい、沢山お窶れ遊ばした。罪も報もない方が、こんなに艱難辛苦して、命に懸けても....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
く凝視めていた。 「口惜いは私こそ、……多一さん。女は世間に何にも出来ん。恋し、
愛しい事だけには、立派に我ままして見しょう。 宝市のこの服装で、大阪中の人の見....
「初夏(一九二二年)」より 著者:宮本百合子
愛やまごころを思えば それの与えられぬのが不思議に思う。 彼と云う、我ただ一人の
愛しい人は 私に、ひたすら、涙を流させるために 私の前に現れたのか 涙 なが....
「死者の書」より 著者:折口信夫
ものがない。おれすら忘れて居た。長く久しく、おれ自身にすら忘れられて居たのだ。可
愛しいおれの名は、そうだ。語り伝える子があった筈だ。語り伝えさせる筈の語部も、出....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
と月の流なへ行けば恋しかるなも (同・三四七六) 橘の古婆のはなりが思ふなむ心|
愛しいで吾は行かな (同・三四九六) 河上の根白高萱あやにあやにさ宿さ寐てこそ言....
「父母に対する私情」より 著者:豊島与志雄
対する、余りに微細な鋭敏な感情が、私のうちに常に働いていたために、また掌中の玉を
愛しいたわるというような、盲目的な一図な愛情ばかりが、父母のうちに常に働いていた....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
なる。流浪から流浪、艱難から艱難、いろいろのお方とも出入りを重ねたが、真底から可
愛しいと思われたのは、偶然にお逢いしたこの方ばかり。……それだのにこのお方死なれ....
「梟啼く」より 著者:杉田久女
し厳格な父も信光だけは非常に愛していた。家中の者も皆此の病身ないじらしい弟をよく
愛しいたわってやった。弟は私が一番好きであった。病気が非常に悪い時でも私が学校か....
「純情狸」より 著者:佐藤垢石
込んだ。 母は、まだ相手が学生であるとの理由から、最初のほどは反対したけれど、
愛しい娘が病の床へついたまま起きあがらないのを見て、ついに同意した。しかし条件が....
「悪魔の弟子」より 著者:浜尾四郎
た。そうして私は自分の将来を考えたのです。 あの不思議な偶然の一致! 憎い妻と
愛しい女! そうして私はこれからさきいつになったら、ほんとうに眠れるのでしょう。....
「三国志」より 著者:吉川英治
でもないな。……どうだね。お前の考えは」 妻の厳氏に相談した。 「さあ……?」
愛しいひとり娘なので、彼の妻も、象牙を削ったような指を頬にあてて考えこんだ。 ....