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愛嬌
「愛嬌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
愛嬌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
、彼は古本屋の女主人にもう「ツアラトストラ」を示していた。
「一円六十銭、――御
愛嬌《ごあいきょう》に一円五十銭にして置きましょう。」
信輔はたった七十銭にこ....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
、そのせいだそうでございます。引き廻しを見たものの話を聞きますと、でっぷりした、
愛嬌《あいきょう》のある男だそうで、その時は紺の越後縮《えちごちぢみ》の帷子《か....
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
が変って、白くなった額には、油汗が流れている。一眼見たのでは、誰でもこれが、あの
愛嬌のある、ひょうきんな、話のうまい、平吉だと思うものはない。ただ変らないのは、....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
いには、じっと斉広の顔を見つめ出した。こう云う種類の人間のみが持って居る、一種の
愛嬌《あいきょう》をたたえながら、蛇が物を狙うような眼で見つめたのである。
「別....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
はいつの間にか鼠色《ねずみいろ》の大掛児《タアクアル》を着た支那人が一人、顔中に
愛嬌《あいきょう》を漲《みなぎ》らせていた。僕はちょっとこの支那人の誰であるかが....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
教壇に登って、自分たちの敬礼に答えると、いかにも人の好さそうな、血色の悪い丸顔に
愛嬌《あいきょう》のある微笑を漂わせて、
「諸君」と、金切声《かなきりごえ》で呼....
「葱」より 著者:芥川竜之介
をきかない。いつも自働ピアノの前に立っては、場所がらだけに多い学生の客に、無言の
愛嬌《あいきょう》を売っている。あるいは業腹《ごうはら》らしいお松さんに無言のの....
「路上」より 著者:芥川竜之介
自慢がましい吹聴《ふいちょう》をした。
「ああ、そう。」
藤沢は気味の悪いほど
愛嬌《あいきょう》のある眼で、ちょいと俊助と切符とを見比べたが、すぐその眼を大井....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
のほとりへ坐りに来た。目近《まじか》に坐っているのを見れば、色の白い、髪の豊な、
愛嬌《あいきょう》のある女であった。
彼は獣《けもの》のように、飮んだり食った....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
《けいがん》には驚きました。」
旅団副官は旅団長へ、間牒の証拠品を渡しながら、
愛嬌《あいきょう》の好《い》い笑顔を見せた。――あたかも靴に目をつけたのは、将軍....
「或る女」より 著者:有島武郎
きになるほどの事でもないじゃありませんか。たかが早月《さつき》さんに一度か二度|
愛嬌《あいきょう》をいうていただいて、それで検疫の時間が二時間から違うのですもの....
「或る女」より 著者:有島武郎
た以上の好意をすぐその人に対して持つ事ができたので、ことさら快い親しみを持ち前の
愛嬌《あいきょう》に添えながら、挨拶《あいさつ》をしようとすると、その人は事もな....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
って、彼の眼に脚だけを見せていた子供は、ふだんから悪戯《いたずら》が激しいとか、
愛嬌《あいきょう》がないとか、引っ込み思案であるとかで、ほかの子供たちから隔てを....
「星座」より 著者:有島武郎
を立ちそうにしながら、抱きよせたクレオパトラの小さな頭を撫《な》でつつ、にやりと
愛嬌《あいきょう》笑《わら》いをしているおたけにいった言葉だが、それをおっ被《か....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
。……時雨れた夜さりは、天保銭一つ使賃で、豆腐を買いに行くと言う。それも旅の衆の
愛嬌じゃ言うて、豪い評判の好い旅籠屋ですがな、……お前様、この土地はまだ何も知り....