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「愛嬌者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

愛嬌者の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
き浮きしてしようがなかった。もしそこに客がいなかったら、葉子は子供のように単純な愛嬌者《あいきょうもの》になって、倉地に渋い顔ばかりはさせておかなかったろう。「....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
二つ三つも越えたらしい、顔に薄あばたのある男で、誰に対しても遠慮なしに冗談をいう愛嬌者として知られていた。その冗談が売り物になって、かれの店はいつも繁昌していた....
号外」より 著者:国木田独歩
は、すぐ近所の新聞社の二の面の(三の面の人は概して、飲みそうで飲まない)豪傑兼|愛嬌者である。けれども連中、だれも黙礼すら返さない、これが常例である。 「そうで....
」より 著者:島崎藤村
なかったが、チョチチョチ位は出来た。漸く首のすわりもシッカリして来た。家の内での愛嬌者に成っている。 「よし。よし。さあもう、それでいいから、皆な行ってお休み」....
田舎教師」より 著者:田山花袋
った松の湯は新しく普請をして見違えるようにりっぱになった。通りの荒物屋にはやはり愛嬌者のかみさんがすわって客に接している。種物屋の娘は廂髪などに結ってツンとすま....
戦話」より 著者:岩野泡鳴
が答えるとたん、から紙が開いて、細君が熱そうなお燗を持って出て来たが、大津生れの愛嬌者だけに、 「えろうお気の毒さまどすこと」と、自分は亭主に角のない皮肉をあび....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
いった。時刻になると師範生のおそろしく丈の高い男が演壇に現われた。かれはすこぶる愛嬌者で頭の横に二銭銅貨ぐらいのはげがあるので銅貨のあだ名があった。かれは妙にき....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
ていた。彼は、一口に云えば、抵抗し難いほど愉快そうに見えた。そのためか、三四人の愛嬌者が、「旦那お早う御座います! 聖降誕祭お目出度う!」と声を掛けた。その後ス....
黒百合」より 著者:泉鏡花
り遊ばすと暴風雨になりますよ。」といって、塗盆を片頬にあてて吻々と笑った、聞えた愛嬌者である。島野は顔の皮を弛めて、眉をびりびり、目を細うしたのは謂うまでもない....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
、つけ足したのでございます。ミウーソフさん、わしが駄法螺を吹くのは、ただ少しでも愛嬌者になりたいからですよ。もっとも、ときどきは自分でもなんのためだかわからんこ....
上海の渋面」より 著者:豊島与志雄
リンは相当名を知られており、酒は粗末だが、気易いダンスが行われ、主人は頭の禿げた愛嬌者で、興至れば自ら歌い且つ踊って見せる。けれども二千二百は全くの窮民で、幾団....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
ゐた。五尺そこそこのクリクリした丸顔のいつも陽気で、これ又いつもニコニコしてゐる愛嬌者だが、こつちの方は血のめぐりがよく、商売上手なところがある。 「サブチャン....
貞操問答」より 著者:菊池寛
問題なんて、芸術家の貴君には、下らないことなんでしょう。……私は、この頃だんだん愛嬌者になって行きますわ。…… というような言葉があった。 かれは考えさせら....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
うですけれどもとにかく愛の容貌を備えて居らない。その点においてはラサの婦人は実に愛嬌者です。いな、むしろ愛嬌者というよりも愛くるしいという方で、敬うべき点は少し....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
狒々の怪死』という題で、僅か数行の文字が書かれてあった。浅草で興行中のサーカスの愛嬌者、狒々男が評判の『鉄の処女』を演じている最中、陥穽から脱け損い、心臓を剣で....