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感傷
「感傷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
感傷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
度あるかわからない。が、これからは?
太郎は、急にある気づかれを感じて、一味の
感傷にひたりながら、その目に涙をうかべて、そっと戸口へ立ちよった。すると、その時....
「冬」より 著者:芥川竜之介
を出した。しかし存外《ぞんがい》変っていないことは幾分か僕を力丈夫にした。僕等は
感傷主義を交《まじ》えずに手短かに用事を話し合った。が、僕の右隣りには兄に会いに....
「河童」より 著者:芥川竜之介
売笑婦になっているではありませんか? 職工の肉を食うことなどに憤慨したりするのは
感傷主義ですよ。」
こういう問答を聞いていたゲエルは手近いテエブルの上にあった....
「彼」より 著者:芥川竜之介
貸したジァン・クリストフの第一巻もまじっているのに違いなかった。この事実は当時の
感傷的な僕には妙に象徴《しょうちょう》らしい気のするものだった。
それから五六....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
も違いなかった。のみならず僕は彼がうたった万葉集《まんようしゅう》の歌以来、多少
感傷主義に伝染していた。
「ニニイだね。」
「さもなければ僕の中の声楽家だよ。」....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
し多少の誇張を許すなら、己の袈裟に対する愛なるものも、実はこの欲望を美しくした、
感傷的な心もちに過ぎなかった。それが証拠には、袈裟との交渉が絶えたその後の三年間....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
きっとこんな事にゃなりゃしないわ。それをお父さんがまた煮え切らないで、――」と、
感傷的に父を責め始めた。
「だからさ、だから今日は谷村博士《たにむらはかせ》に来....
「路上」より 著者:芥川竜之介
俊助はいつまでもプラットフォオムに立って、次第に遠ざかって行く野村を見送るほど、
感傷癖に囚われてはいなかった。だから彼はもう一度鳥打帽の庇へ手をかけると、未練な....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
ゃ》らしい、人懐《ひとなつ》こい性格も持っていられた。……」
少将はほとんど、
感傷的に、将軍の逸話《いつわ》を話し出した。それは日露戦役後、少将が那須野《なす....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ボヴァリスムである。我我自身を伝奇の中の恋人のように空想するボヴァリイ夫人以来の
感傷主義である。
地獄
人生は地獄よりも地獄的である。地獄の与える苦....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
そらくその時の自分は、いかにも偉大な思想家の墓前を訪《と》うらしい、思わせぶりな
感傷に充《み》ち満ちていたことだろうと思う。ことによるとそのあとで、「竜華寺《り....
「或る女」より 著者:有島武郎
とり》とさえして崇拝された。この木部がたびたび葉子の家を訪れるようになった。その
感傷的な、同時にどこか大望《たいもう》に燃え立ったようなこの青年の活気は、家じゅ....
「或る女」より 著者:有島武郎
古びを帯びて保存されたりしていた。定子をそばにおいてそんなものを見るにつけ、少し
感傷的になった葉子の心は涙に動こうとした。けれどもその日はなんといっても近ごろ覚....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
はじめた。K中尉も理智的には甲板士官に同意見だった。のみならずこの下士の名誉心を
感傷的と思う気もちもない訣ではなかった。が、じっと頭を垂れた下士は妙にK中尉を不....
「寡婦」より 著者:秋田滋
までもいつまでも、往ったり来たりして歩いているのです。私はよく部屋の窓から、この
感傷的な少年が、両手を腰のうしろに※して、首をうなだれて、淋しそうな足どりで歩い....