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感触
「感触〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
感触の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
めていた。おぬいはそれを幾度も幾度も自分の頬に押しあてた。冷たいガラスの面が快い
感触をほてった皮膚に伝えた。おぬいはその
感触に甘やかされて、今度は写真を両手で胸....
「家霊」より 著者:岡本かの子
とも、東京の山の手であることもしばらく忘れて店の者は、快い危機と常規のある奔放の
感触に心を奪われる。あらためて老人の顔を見る。だが老人の真摯《しんし》な話が結局....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
のも、まったくあなたのお蔭」 ああと、ロイスが何事かをさとり、抱いていた三上の
感触がスウッと飛び去ったような気がした。カムポスが私に恋し、私のために死んでくれ....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
。胸の皮膚は擽られ、肉はしまり、血は心臓から早く強く押出された。胸から下の肢体は
感触を失ったかと思うほどこわばって、その存在を思う事にすら、消え入るばかりの羞恥....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
逞の自由さが蘇った。小初はしなやかな胴を水によじり巻きよじり巻き、飽くまで軟柔の
感触を楽んだ。 小初は掘り下げた櫓台下の竪穴から浅瀬の泥底へ水を掻き上げて行く....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
並んでいるのを少し乗り出して横眼で見た。しかし彼女の気持からは、その男は垢っぽい
感触を持ってるので、なるべく一人垣を隔てた向うへどうしても置きたかった。 そん....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
神経が根を保っている。麻川氏は自分の屹々した神経の尖端を傷めないK氏の外廓形態の
感触に安心してK氏のなか味のデリカな神経に触接し得る適宜さでK氏をますます愛好し....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の足許には、雪を踏みしだくような感じで埃の堆積が崩れ、それを透かして、※の冷たい
感触が、頭の頂辺まで滲み透るのだった。こうして、この隧道旅行は、かれこれ二十分あ....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
の右腕にも均しい温度で微かに体温が残っている。と云ったところでたぶん君は、皮膚の
感触みたいな微妙なものに信頼は置けぬと云うだろうが、それならそれで、もう一つ適確....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
何時だったか、どの女だったか、彼の両肩に柔い手を置き、巴里祭のはなしをして呉れた
感触を思い出した。 ――ほんとにその日は若いものに取っては出合いがしらの巴里です....
「雨」より 著者:織田作之助
なめたが、聴かなんだ。 蝸牛を掌にのせ、腕を這わせ、肩から胸へ、じめじめとした
感触を愉しんだ。 また、銭湯で水を浴びるのを好んだ。湯気のふきでている裸にざあ....
「昨日・今日・明日」より 著者:織田作之助
それから窓にしがみついた女の腕を、白崎はひきずり上げた。びっくりするような柔かい
感触だった。 女の身体が車内へはいったのと、汽車が動きだしたのと同時だった。 ....
「春」より 著者:岡本かの子
その時々の局面を打開して行く術さえ覚えた。加奈子は、飽き安いこの病症の者に新しい
感触を与えるように、京子を時々違った医者や病院へ連れて行った。京子の病症が不治の....
「西航日録」より 著者:井上円了
そのいちいちは二、三紙のよく尽くすところにあらざればここに略し、ただ滞在中ことに
感触せるもの、これを言文一致的の詩または歌につづりおきたれば、拙劣をかえりみず、....
「雨」より 著者:織田作之助
触れた途端に、ドキッと戦慄を感じたが、やがてサクサクと皮膚の上を走って行く快よい
感触に、思わず体が堅くなって唇の辺りをたび/\拭い、石鹸と化粧料の匂いのしみこん....