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「慈父〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

慈父の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
田舎教師」より 著者:田山花袋
維新の時には国事に奔走して、明治になってからここに来て、病院を建てて、土地の者に慈父のように思われたという人の石碑もあった。製糸工場の最初の経営者の墓は、花崗石....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
の珠を転がし、数珠を繰るのであった。 「この人は、きっと貴方の処へ帰って来ます。慈父の手に縋るようにして帰って来ます。貴方がもし行くにしても、今は少し早い。月末....
夏目漱石先生の追憶」より 著者:寺田寅彦
る。しかし子供のような心で門下に集まる若い者には、あらゆる弱点や罪過に対して常に慈父の寛容をもって臨まれた。そのかわり社交的技巧の底にかくれた敵意や打算に対して....
田丸先生の追憶」より 著者:寺田寅彦
。 しかし先生は、「むだ」や「余白」だらけのだらしのない弟子たちに対して、真の慈父のような寛容をもって臨み、そうしてどこまでも懇切にめんどうを見てやるのに少し....
未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
兵は、大分疲労しておるようじゃから、皆で、よくいたわってやれ」 加瀬谷少佐は、慈父《じふ》のような温いことばをそこに残して、立ち去った。感激に、また涙を落とし....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
どっている、その欝勃たる客気はなにものかにふれると爆発する、しかも今や涙をもって慈父のごとく敬愛する校長とわかれんとするのである。危険は刻々にせまってくる。かれ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
う! このクイラスの人々のようになさるがよろしいです。」 彼はかくまじめにまた慈父のように語り、実例がない場合には比喩《ひゆ》をこしらえ、言葉少なく形象豊かに....
学生と先哲」より 著者:倉田百三
ばん程は見つぎ奉るべし、後生をば聖人助け給へと契りし事は、ただ事とも覚えず、偏に慈父悲母波木井殿の身に入りかはり、日蓮をば哀れみ給ふか。(波木井殿御書)」 か....
妾の半生涯」より 著者:福田英子
っこう》せんと、暗《あん》に永別の書を贈りし所以《ゆえん》なり。ああ儂や親愛なる慈父母あり、人間の深情|親子《しんし》を棄《す》てて、また何かあらん。しかれども....
血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
た。全く私は笠神博士の所へは繁々出入した。今では私は博士を啻に恩師としてでなく、慈父のように慕っているのだ。静かに考えて見ると、私は別にその為に恐れる所はないの....
正雪の遺書」より 著者:国枝史郎
ということを、感じさせられるのでございます。それか有らぬかこれらの者は、ちょうど慈父でも慕うように、私を慕うのでございました。 慕われるというこの苦痛! 慕わ....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
り扱うことは私の大きな弱点となった。今日私が貧乏するのもそのせいである。父には、慈父の直感で、私のその生来の弱点が見抜けて、それを心配していたのではあるまいか。....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
を愛する者に対する親切と愛情をもって、この哀しみの家においで。――おまえの悩める慈父 アルフォンス・フランケンシュタイン ジュネーヴ、一七××年五月十二日」 ....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
犬塚信乃 芳流傑閣勢ひ天に連なる 奇禍危きに臨んで淵を測らず ※歩敢て忘れん慈父の訓 飄零枉げて受く美人の憐み 宝刀|一口良価を求む 貞石三生宿縁を証す 未....
父の墓」より 著者:岡本綺堂
然れども思え、いたずらに哭して慟して、墓前の花に灑ぎ尽したる我が千行の涙、果して慈父が泉下の心に協うべきか、いわゆる「父の菩提」を吊い得べきか。墓標は動かず、物....