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慟哭
「慟哭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
慟哭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カルメン」より 著者:芥川竜之介
――カルメンの死骸《しがい》を擁《よう》したホセが、「カルメン! カルメン!」と
慟哭《どうこく》するまで僕等のボックスを離れなかった。それは勿論舞台よりもイイナ....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
生だった自分の眼が、この樗牛の裸の姿をつかまえそくなっただけである。自分は樗牛の
慟哭《どうこく》には微笑した。が、そのもっともかすかな吐息《といき》には、幾度も....
「二つの道」より 著者:有島武郎
て、軌道の発見せられていない彗星《すいせい》の行方《ゆくえ》のような己れの行路に
慟哭《どうこく》する迷いの深みに落ちていくのである。
四
二つの道は人の歩....
「河明り」より 著者:岡本かの子
た文人があった。その詩はすこぶるセンチメンタルなものであって、死を憧憬し、悲恋を
慟哭する表現がいかに少女の情緒にも、誇張に感じられた。しかもその時代の日本の詩壇....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
世界へ生れ代ろうとするもののようである。わたくしが案外、冷静なのに、見よ、逸作が
慟哭している激しい姿を。わたくしが急いで近寄って編笠の中を覗くと、彼はせぐり上げ....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
う者もあれば、憫れむ者もあった。死後三日目に、張夫婦は墓前に伏して、例のごとくに
慟哭をつづけていると、たちまち墓のなかで呻るような声がきこえたので、夫婦はおどろ....
「のろのろ砲弾の驚異」より 著者:海野十三
得るものではなかった。 ロッセ氏は、映幕の前に、金博士の手を握り、子供のように
慟哭した。余程嬉しかったものと見える。無理もない、それは確実に、印度民族|奮起の....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
っては、噴水のささやきも耳には入らず、頭の上の青空も目には見えなかった。ある時は
慟哭し、また或る時には我とわが髪を引きむしって気違いのように救いを求めたりしてい....
「雨」より 著者:織田作之助
、さすがに窓の下を走る車のヘッドライトが暗闇の天井を一瞬明るく染めたのを見ると、
慟哭の想いにかられた。 どういう心の動きからか、豹一はその後妓のところへしげし....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
れない不思議なものがあるのですわ」 とはいえウルリーケとて同じことで、夫の死に
慟哭するようなそぶりは、微塵も見られなかったのであるが、まもなく法水は、その理由....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
しもこの一大氷山の一角に乗りあげしなり、万事休す! 余は思わず甲板上に身を投げて
慟哭せり、されど泣けばとていかでかこの悲境より免るるをえん、しばらくたって余はふ....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
としてすでに逝き、また浮き世の人にあらず。もってひとたびは錯愕、もってひとたびは
慟哭、情緒乱れて、またなすところを知らず。しかれども、事すでにここに至る、いかん....
「父の墓」より 著者:岡本綺堂
って我一身のため、わが一家のため、奮って世と戦わんとするものなり。哀悼愁傷、号泣
慟哭、一|枝の花に涙を灑ぎ、一|縷の香に魂を招く、これ必ずしも先人に奉ずるの道に....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
最後の儀式を飾る金冠|繍服の行列こそ見えなかったが、皆故人を尊敬し感嘆して心から
慟哭し痛惜する友人門生のみであった。初夏の夕映の照り輝ける中に門生が誠意を籠めて....
「雨」より 著者:織田作之助
飛してしまった。窓の下を走る車のヘッドライトが暗闇の天井を一瞬明るく染めたのを、
慟哭の想いにかられて見ていた。あっさりと物ごとを考えられないのが彼の欠点であった....