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慥か
「慥か〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
慥かの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「不吉の音と学士会院の鐘」より 著者:岩村透
は二どめの妻君があって、この妻君も死ぬことになるが、その死ぬ少し前に、ハークマは
慥か倫敦へ行っていて、そして其処から帰える。一体この人の平素住んでいるのは有名な....
「黒猫十三」より 著者:大倉燁子
溜息に似た声を出した。 「オヤ、蘇生ったのかな」 本庄は慌てて唇に手をやった。
慥かにまだ息がある。手首を握ってみると、最初は殆ど分らないほど微かだった脈が、段....
「情鬼」より 著者:大倉燁子
たように深い太息をつくと両手で頭を押えた。私は気が狂ったんじゃないか知ら、しかし
慥かに宮本夫人を見た。小田切大使を見た。この目で見たんだから間違うはずはない。で....
「梟の眼」より 著者:大倉燁子
電燈の灯を受け、ピカッと眼を射た。 ダイヤだ、ダイヤの指輪だ! 三越の店員に
慥かに渡したと思っていた五千八百円の指輪だ。彼女は頭の先から足の先まで、ジーンと....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
ない安っぽい洋服を着ています。特別大きな帽子を被っているので、容貌は分らないが、
慥かに美人ではなさそうでした。どこか体の工合でも悪いのか、屋敷の長い土塀に掴まり....
「月世界競争探検」より 著者:押川春浪
直して我に還ったが、再びその人に縋り付いて、 「叔父さん。僕です、文彦です。気を
慥かに持って下さい。文彦です。文彦です。」 といいながら抱き起す。 東助も始め....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
す。味方はワッワッと鬨を作って、倒ける、射つ、という真最中。俺も森を畑へ駈出して
慥か二三発も撃たかと思う頃、忽ちワッという鬨の声が一段高く聞えて、皆一斉に走出す....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
門は、いかにも見事じゃ、が、われらは幾度見たか数えられぬ程じゃ。去年の弥生狂言も
慥か伊左衛門じゃ。もう伊左衛門には堪能いたしておるわ。それに比ぶれば、七三郎どの....
「西園寺公の食道楽」より 著者:北大路魯山人
まったものだから、八十何歳の西園寺公にはやや脂っ濃すぎるかも知れないが、白子なら
慥かに適するはずである。だから、たいの白子なぞは、公の好物にちがいないと想像する....
「味覚の美と芸術の美」より 著者:北大路魯山人
花は造り易いが、日本の草花は造りにくい、と言っていたということを人から聞いたが、
慥かにさもあろう。言わば西洋の草花は、最初から人の手でも容易にできるような、玩具....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
自己をどんなにか偉大に、またどんなにか小さく思っただろう。
お前は残酷にも己を不
慥かな
人間の運命の圏内に衝き戻したな。
誰に己は教を受けよう。何を去り何に就こ....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
得がたき方をかけ給へる御詞也。又得たりと云言を再びかへし給へるも、其御戯れの旨を
慥かに聞せんとて也。然るにかやうなるをなほざりに見過して、万葉などは何の巧も風情....
「蜜柑」より 著者:佐左木俊郎
るらしく、しきりと太い話し声がやりとりされている。折々大きな笑い声も洩れて来る。
慥かに誰かが来ているらしい。お婆さんは布団からそおうっと顔を出して見た。併しお婆....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
ずぶ濡れゆえ、酔が醒めてみると夢のような心もちで、判然分りませんけれども、お刀は
慥かに己が脊負ってお屋敷から出たに違いないが、河岸|縁へ来て、己が正体なくなって....
「梅若七兵衞」より 著者:三遊亭円朝
七「私は余り嬉しいから二枚一緒に奪取りましたものか、一枚遣ろうと仰しゃったのは
慥かに覚えて居ります、それを懐に入れてせっせと駈けて行くと、胸がむか/\いたしま....