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慰める
「慰める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
慰めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬」より 著者:芥川竜之介
いて行った。僕の従兄《いとこ》は四五日前にそこの刑務所にはいっていた。僕は従兄を
慰める親戚総代にほかならなかった。が、僕の気もちの中には刑務所に対する好奇心もま....
「影」より 著者:芥川竜之介
居るじゃございませんか。」
老女は紅茶の盆《ぼん》を擡《もた》げながら、子供を
慰めるようにこう云った。それを聞くと房子の頬《ほお》には、始めて微笑らしい影がさ....
「彼」より 著者:芥川竜之介
ニインなどは写真で見ても、逞《たくま》しい体をしているからなあ。」
しかし彼を
慰めるものはまだ全然ない訣《わけ》ではなかった。それは叔父さんの娘に対する、極め....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
だこの好女《こうじょ》の数の多い情人の一人として春宵《しゅんしょう》のつれづれを
慰めるために忍んで来た。――それが、まだ一番鶏《いちばんどり》も鳴かないのに、こ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
なさい。私に出来る事でさえあれば、どんな事でもして上げます。」
彼がこう優しく
慰めると、女は始めて勇気を得たように、時々まだ口ごもりながら、とにかく一切の事情....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
た、勿論《もちろん》愛撫《あいぶ》や接吻《せっぷん》が未亡人だった彼の母を性的に
慰めるのを承知しながら。
或悪魔主義者
彼は悪魔主義の詩人だった。が....
「或る女」より 著者:有島武郎
な事務長ではない。倉地は船医の興録《こうろく》までを手伝わせて、田川夫妻の旅情を
慰めるように振る舞った。田川博士の船室には夜おそくまで灯《ひ》がかがやいて、夫人....
「或る女」より 著者:有島武郎
自分で自分の心根《こころね》を憫然《びんぜん》に思ってそぞろに涙を流して、自らを
慰めるという余裕すらなくなってしまった。かわききった火のようなものが息気《いき》....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
っしゃるが何より薬じゃ。なあ、主、気の持ちように依るぞいの。」 と婆さんは渠を
慰めるような、自分も勢の無いような事を云う。 病人は、苦を訴うるほどの元気も持....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
だ」 そう言って君の友は、悒鬱な小柄な顔をひときわ悒鬱にした。君は励ます言葉も
慰める言葉も知らなかった。そして心とがめするもののようにスケッチ帳をふところに納....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
女、因果やな、ほんとに、三味線は弾けぬかい。ペンともシャンとも。」 で、わざと
慰めるように吻々と笑った。 人の情に溶けたと見える……氷る涙の玉を散らして、は....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
に話をする方が、気が霽れて、それが何より保養になるよ。」 としみじみ労って問い
慰める、真心は通ったと見えまして、少し枕を寄せるようにして、小宮山の方を向いて、....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
れないために、ときどき、戦争によって、一民族が他の民族を殺す戦争によって、自らを
慰めるのだ。ところで、戦争というものは、血の濫費にほかならぬ。この濫費のために軍....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
、仔細は知らず、七兵衛はさこそとばかり、 「どうした、え、姉やどうした。」 問
慰めるとようよう此方を向いて、 「親方。」 「おお、」 「起きましょうか。」 「....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
た時、お若は鷹揚に些も意に介する処のないような、しかも情の籠った調子で、かえって
慰めるように謂った。 お杉は心も心ならず、憂慮しげに少年の状を瞻りながら、さす....