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憂い
「憂い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憂いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夢」より 著者:芥川竜之介
うけい》時間にもシュミイズ一枚着たことはなかった。のみならずわたしの言葉にももの
憂い返事をするだけだった。しかしきょうはどうしたのか、わたしに背中を向けたまま、....
「或る女」より 著者:有島武郎
られるあの青色をさえ帯びた乳白色の皮膚、それがやや浅黒くなって、目の縁《ふち》に
憂いの雲をかけたような薄紫の暈《かさ》、霞《かす》んで見えるだけにそっと刷《は》....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
そんな事を書けば限りがない。ともかく私たちは幸《さいわい》に怪我もなく、二日の物
憂い旅の後に晩秋の東京に着いた。
今までいた処とちがって、東京には沢山の親類や....
「片信」より 著者:有島武郎
裕《ゆた》かに過ぎたならば、ここに再び新たな容易ならざる階級争闘がひき起こされる
憂いが十分に生じてくる。なぜならば私生児の数が多きに過ぎたならば、ここにそれを代....
「星座」より 著者:有島武郎
奥に何かなしに淋しいほほ笑みを感じた。そしてまた溜息が出た。
どこもここも住み
憂い所のようにこのごろ清逸は感ずるのだった。札幌にいて、入らざる費用をかけていな....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
じと契りたる村越欣弥は、ついに幽明を隔てて、永《なが》く恩人と相見るべからざるを
憂いて、宣告の夕べ寓居《ぐうきょ》の二階に自殺してけり。 (明治二十七年十一月一日―三十日「読売新聞」)....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
いささか貢献するところあらんと期する身が、この醜態は情ない。たとい人に見らるるの
憂いがないにせよ、余儀なき事の勢いに迫ったにせよ、あまりに蛮性の露出である。こん....
「狂人日記」より 著者:井上紅梅
ないわけだ。そうすれば自然願いが通って皆大喜びで鼠泣きするだろう。しかし驚き恐れ
憂い悲しんで死んでも、いくらか痩せるくらいでまんざら役に立たないことはない。 ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
にしあるいは日を除け、道々も道中の気遣いを故郷の恋しさと未来の大望とか悲しみ悦び
憂いをかわるがわる胸中に往来したれば、山川の景色も目にはとまらずしてその日の暮が....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
ないではないが、二十八年間の長きにわたって喜寿に近づき、殊に最後の数年間は眼疾を
憂い、終に全く失明して口授代筆せしめて完了した苦辛惨憺を思えば構想文字に多少の倦....
「無表情の表情」より 著者:上村松園
舞台に立ちますと、その無表情な面に無限な表情を発します。悲しみ、ほほえみ、喜び、
憂い、その場その場により、その時その時に従って、無限の表情が流露して尽くるところ....
「妖怪学」より 著者:井上円了
た人相家の言に、手を組む癖ある人は思いごとたえず、首を傾くる癖ある人はその心常に
憂いありといい、また、人のもとへ談合に行く途中にて丸く全きものを見れば、頼みごと....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
うな無責任にはなれないのが二葉亭の性分であった。例えば『浮草』の如き丁度関節炎を
憂いて足腰が起たないで臥ていた最中で、病床に腹這になって病苦と闘いながらポツポツ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
ば、三年越しの流浪にて、乞食の境遇にも、忘れ難きは赤城の娘、姉妹ともさぞ得三に、
憂い愁い目を見るならむ。助くる術は無きことか、と頼母しき人々に、一つ談話にするな....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
とを得るなり。第二に、一般の学術は真理いまだ一定せざるをもって、衆説一致せざるの
憂いありといえども、宗教はその説一人の口より出でたるものなれば、衆説相分かるるの....