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憂目
「憂目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憂目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
必ず新知識に向って、反抗の声を揚げるのが常則となって居る。かのイエスとても同様の
憂目を嘗めた。寄木細工式の繁瑣な神学を捏ち上げた人達、朝に一条を加え、夕に一項を....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
とする。殊に近代の科学は何の容赦もなく、如何なる場合にも抵抗しない彼女を、幽閉の
憂目にさえ遇わせようとした。抵抗しないという美徳を逆用して人は彼女を無視しようと....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
えしを見たまいしならむとのみ、仮りに思い棄てたれど、あるいはさもなくて、何等かの
憂目に合わせたまうならずや。酷き養子のありといえば。また更に胸の安からず。 小....
「取舵」より 著者:泉鏡花
客を置くべき所にして、下等室は一個の溽熱き窖廩に過ぎざるなり。 この内に留りて
憂目を見るは、三人の婦女と厄介の盲人とのみ。婦女等は船の動くと与に船暈を発して、....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
楽しとおもひたることもなし、今の我が身の上をひしひしと思ひつむる時、生きてかかる
憂目見んより死してこの苦を免かるる方はるかに勝るべしなど思ひたるは幾度もありたれ....
「海底大陸」より 著者:海野十三
ロー殿下の始末について物語った。はたしてロロー殿下や長良川博士は、これからどんな
憂目にあうのだろうか。 王子をうばわれた海底超人は、だまって指をくわえて引っこ....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
いは続くもので、よしんばその中に浮き揚がったにしても、たちまち四肢が凍え、凍死の
憂目を見ねばならないからです。 それからしばらく、私たちは数々の悲嘆に襲われて....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
知らずに売ったが、それでも人が死ねばやはり過失致死罪なのだろう、やがて投獄される
憂目に会うたが、今はそれに脱走という罪が二重に重なって、おまけに拾った財布の金を....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
ような……いや唸るのだ。誰か同じく脚に傷を負って、若くは腹に弾丸を有って、置去の
憂目を見ている奴が其処らに居るのではあるまいか。唸声は顕然と近くにするが近処に人....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
、悲しい気持で傍観していねばならなかった。 永い間、十年近い間、耕吉の放埒から
憂目をかけられ、その上三人の子まで産まされている細君は、今さら彼が郷里に引っこむ....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
念にも一月にはあの大雪にあい、立山中腹ブナの小屋においてテントを置いたまま退去の
憂目をみた。(山友達とともに春になった四月の三、四の両日に前穂高の北尾根を登り、....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
日はパーリーという第一の関門へ着くので、事もし発覚すればおのれも捉えられて獄裡の
憂目を見なければならぬという怖れを懐いたからでしょう。彼は私に向い「この間あなた....
「賤ヶ岳合戦」より 著者:菊池寛
母お市の方を、勝家に再嫁せしめたのである。勝家の許に来って一年経たず、再び落城の
憂目を見る事になった。勝家、その三女と共に秀吉の許に行く様に勧めるが、今更生長え....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ませんとでもなったら、命は無事でも、行くにも行けず、還るにも還れず、一同立往生の
憂目を見た事だろうと思うと、思わずほっとしたものだ。どう見たところで熊笹峠にせよ....
「赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
のでした。即ち、抜身を持っているが為めに、刀気走って身を隠すことが出来ず、闇討の
憂目に逢うのです。 私は、そうやって戸の面へ、ピッタリ体を食付けたまま静かに暗....