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「憂苦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

憂苦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
。彼は無罪の死を嘆いている時、一匹の螻蛄が自分の前を這い歩いているのを見た。彼は憂苦のあまりに、この小さい虫にむかって愚痴を言った。 「おまえに霊があるならば、....
死生」より 著者:幸徳秋水
、縦令偶然にして其寿命のみを保ち得ても、健康と精力とが之に伴わないで、永く窮困・憂苦の境に陥り、自ら楽しまず、世をも益するなく、碌々昏々として日を送る程ならば、....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
るは御尤もなこと、実は私の忰山之助と申す者と三年前から巡礼を致して、長い間旅寝の憂苦労を重ね、漸く今日|仇を討ちましたが、山之助は先達て仔細有って亡なりました、....
死刑の前」より 著者:幸徳秋水
てその寿命のみをたもちえても、健康と精神力とがこれにともなわないで、ながく困窮・憂苦の境におちいり、みずからたのしまず、世をも益することなく、碌々・昏々として日....
黒百合」より 著者:泉鏡花
ても、お前達にもう逢いたくはなかったよ。」 と若山は花屋の奥に端近く端座して、憂苦に窶れ、愁然として肩身が狭い。慶造と呼ばれたのは、三十五六の屈竟な漢、火水に....
関牧塲創業記事」より 著者:関寛
に今日に於ても時々思い出す事あり。ああ此現状に遇するに於ては大満足たるや如何なる憂苦困難を重ねたるも、此れにて万難を打消すべきを感じたり。ああ世人は斯くの如きの....
障子の落書」より 著者:寺田寅彦
からの仕事が一段落をつげたと云うだけの単純な満足が心の底に動いているので、過去の憂苦も行末の心配も吉野紙を距てた絵ぐらいに思われて、ただ何となく寛ろいだ心持にな....
喫煙四十年」より 著者:寺田寅彦
がする。何故だか理由は分らないが唯そんな気がするのである。 煙草の効能の一つは憂苦を忘れさせ癇癪の虫を殺すにあるであろうが、それには巻煙草よりはやはり煙管の方....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
虚偽にいらだった。自分の書いてるものが、考えてることよりいかに劣ってるかを見て、憂苦に沈んだ。彼は苦々《にがにが》しくおのれを疑ってみた。しかしその愚かしい失敗....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
をますます偉大ならしむるものである。 知友たちから誤解されてることは、彼の心に憂苦を満さした。しかし最も重大な憂苦は母親までが心配し始めたことであった。 こ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ではある。しかしながら、ヘルデルやゲーテを有する国民のこの告白のうちには、いかに憂苦が潜んでいたことであろう! そしてこのドイツの戦勝は、ドイツ理想の放棄であり....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
に、音楽の奔流は冬に亀裂《きれつ》したこの地面中に吸い込まれていた。恥辱も悲痛も憂苦も、今ではその神秘な使命を現わしていた。それらのものは土地を分解し、土地を肥....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の漠《ばく》とした高慢を、その勇壮な努力を、また超人間的事業の重圧の下にあるその憂苦を。その双肩の荷はすなわち、世界の一総和体、一の道徳、一の審美、一の信仰、建....
言葉の不思議」より 著者:寺田寅彦
anger はアイスランドの 〔a&ngr〕 やLの angor などのような「憂苦」を意味する言葉と関係があるそうで、一方ではまたスウェーデンの「悔恨」を意味....
妖怪学」より 著者:井上円了
感じ不快を生ずるは、いわゆる身部の影響、心部の上に及ぼすものなり。これに反して、憂苦|鬱悶して疾病を生ずるがごときは、いわゆる心部より生ずる病なり。しかして、生....