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憎さげ
「憎さげ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憎さげの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ら、まるで穽《わな》にかかった狐《きつね》でも見るように、男も女も折り重なって、
憎さげに顔を覗きこもうとするのでございます。その何人とも知れない白癩《びゃくらい....
「星座」より 著者:有島武郎
の(といって柱時計を見かえりながら)お前もう御飯を召しあがりましたろうね」
と
憎さげにまた書物を取り上げた。どうかすると気味が悪るいほど親切で、どうかするとこ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
紙入れを地面に叩きつけた。 「畜生、おぼえていろ」 彼はそれを注意した女の顔を
憎さげに睨んで、そのまま群衆のなかへ姿を隠してしまった。睨まれたのは十七八の若い....
「「紋」」より 著者:黒島伝治
だ、ひろ/\してやがら。」 「あんな奴は叩き殺してしまえ!」近所の人々は口々に、
憎さげに云った。 「もっと遠いとこイ持って行て捨てイ。」とじいさんは、近所の噂を....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
や」 ひとりが云ったので、みんなも笑った。定吉は兎欠脣を食いしめながら、紋作を
憎さげに睨んで出て行った。 稽古の終った頃には冬の日はもう暮れ切っていた。紋七....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
らしい。「一体全体何時何処で、どんな約束を致しましたので?」 「ふん」と如何にも
憎さげに、お半の方は鼻を鳴らした。「大悪党にも似合わない、飛んだお前は小心者だね....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
と、その滴をしたたらせたまま、ズーッとその先を突きつけた。「お云い!」と云ったが
憎さげである。「一匹逃がしたのは本当らしい。それを手に入れたのがこの妾だ! で、....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
いやり口だといえばいえる。しかしながら万事金の力で不足を補う処の何だか下等にして
憎さげな態度はしゃくにさわるけれども、アメリカという国は急に衰微するとは思えない....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
小気味よさそうに声を上げて笑った。 勘右衛門が怒ったのは当然と云えよう。さも
憎さげに弁太を睨んだが、 「うむ、お前さんは弁太殿か、妹をいたぶりの邪魔をされた....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
独立した建物があった。 「この建物が大変な物なので」貝十郎は指さしながら、なかば
憎さげになかば嘲笑うように、 「云って見れば閨房なので。同時に拷問室でもあれば、....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
おっしゃるなら助けないものでもござらぬが、それには償いがいり申すぞ」オンコッコは
憎さげに云う。 「拙者代わって償いましょう」 「この深い深い林の中を西へ西へと三....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
。 二人はすっかり落胆して鍬を捨てざるを得なかった。 「オイ」 と三津太郎は
憎さげに、「お前が西丸で盗んだというその在原業平の軸、もしや贋じゃあるめえかな」....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
よ」素気なく「爺つあん」は云い放った。 「嘘を云いねえ、ほんとにするものか」文は
憎さげに笑ったが、「ではどうでも厭なのだな。ふん、厭なら止すがいい。その代り紫錦....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
松身内の八五郎、峯吉!」 「何だ何だ藤作か! チェッ、赤尾の百姓か!」 峯吉が
憎さげにそう叫んだ、 「百姓とは何だ、溝鼠。……杉さん、こいつらア猪之松の乾兒で....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
ていなさるね。這奴、若旦那を釣出そうと思ったって、然うは行かねえ。」 七兵衛は
憎さげに顧った。冬子も嫉げに顧った。この四つの眼に睨まれたお葉は、相変らず落葉を....