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「憎しみ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

憎しみの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
の女のように、醜い魂と、美しい肉身とを持った人間は、ほかにいない。 この自分の憎しみも、兄にはわかっていないようだ。いや、元来兄は、自分のように、あの女の獣の....
」より 著者:芥川竜之介
をつけたりした。が、時間の移るにつれ、だんだん無愛想《ぶあいそう》な看守に対する憎しみの深まるのを感じ出した。(僕はこの侮辱《ぶじょく》を受けた時に急に不快にな....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
、いくら己自身に対してでも、今更改めて問う必要はない。己はむしろ、時にはあの女に憎しみさえも感じている。殊に万事が完《おわ》ってから、泣き伏しているあの女を、無....
仙人」より 著者:芥川竜之介
る。事によると、李が何にでも持っている、漠然とした反抗的な心もちは、この無意識の憎しみが、原因になっているのかも知れない。 しかし、そうは云うものの、李も、す....
手紙」より 著者:芥川竜之介
お母さんの顔にある表情を感じました。それはちょっとした驚きと一しょに何か本能的な憎しみを閃《ひらめ》かせている表情です。けれどもこの奥さんはすぐにもの静かに返事....
忠義」より 著者:芥川竜之介
の眼の中にあったものは、既に怒りばかりではない。林右衛門は、そこに、また消し難い憎しみの色をも、読んだのである。 その中《うち》に、主従の間に纏綿《てんめん》....
藪の中」より 著者:芥川竜之介
。が、夫の眼の色は、少しもさっきと変りません。やはり冷たい蔑《さげす》みの底に、憎しみの色を見せているのです。恥しさ、悲しさ、腹立たしさ、――その時のわたしの心....
さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
られぬような気に」なったのであろう。あげた手が自《おのずか》ら垂れ、心頭にあった憎しみが自ら消えると、彼は、子供を抱いたまま、思わず往来に跪《ひざまず》いて、爪....
或る女」より 著者:有島武郎
泣く男の姿を見ていると、そこにはかすかな誇りのような気持ちがわいて来た。不思議な憎しみといとしさがこんがらかって葉子の心の中で渦巻《うずま》いた。葉子は、 「さ....
或る女」より 著者:有島武郎
《むしょう》に自分の顔を倉地の広い暖かい胸に埋《うず》めてしまった。なつかしみと憎しみとのもつれ合った、かつて経験しない激しい情緒がすぐに葉子の涙を誘い出した。....
星座」より 著者:有島武郎
ちに、二人の距離と、彼自身の中に否応なしに育っていく無体な欲念との間に、ほとんど憎しみともいえそうな根深い執着を感じはじめていた。ある残虐《ざんぎゃく》な心さえ....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
とだ。そしてお前は私に相談もせずに、愛のない時に、愛の籠ったような行いをしたり、憎しみを心の中に燃やしながら、寛大らしい振舞いをしたりしたろう。そしてそんな浮薄....
新日本の進路」より 著者:石原莞爾
全体主義は如何なる立場に立つものであるか。第二次世界大戰以後、全体主義にたいする憎しみが世界を支配し、その昂奮いまだ覺めやらぬ今日、これにつき種々概念上の混迷を....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
…」 「辻町さん、よく存じております、知っていたんです。お嫌いなさいますのも、お憎しみも分っています。いますけれど、思う方、慕う方が、その女を余所へ媒妁なさると....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
たくさんの人間のいることを神の愛の証拠と思うことは出来ない。いや、寧ろ全能の主の憎しみの証拠とさえ思われるであろう。しかし本所の或場末に小学生を教育している僕の....