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憎めない
「憎めない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憎めないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
っていって、早いところ五、六本すすったんですよ。どうです。くやしかありませんか」
憎めないやつで、かわいいことをとうとう白状してしまいましたものでしたから、右門は....
「党生活者」より 著者:小林多喜二
つこく笑った。須山はどっちかと云えば調子の軽い、仲々|愛嬌《あいきょう》のある、
憎めないたちの男だったので、私はその度に苦笑した。が、今は時期が時期だし、私は強....
「新生」より 著者:島崎藤村
ほんとにまだ異人の肌《はだ》も知らないんですか――話せないねえ」
何を言っても
憎めないようなその快活な調子は一同を笑わせた。
「年は取りたくないものだ」
こ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
い。まったく彼は盗んだ金を返しに来たのであった。そう判ると、兼松らもこの若い僧を
憎めないような気にもなった。 夜叉神の咎めか、あるいは彼の良心の咎めか、肉付き....
「正義と微笑」より 著者:太宰治
だ。そうしてお母さんは病気になって、今でも寝ている。でも僕は、お父さんをちっとも
憎めない。お父さんは、僕の事を、坊主、坊主と呼んでいた。お父さんに就いての記憶は....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
芸術的余情を伴わないけれども、いろいろと工夫を凝らして玄関から欺しに来る奴の心は
憎めない愛情があり、よくあんな智恵を絞ったものだと感心されることもしばしばある。....
「影のない犯人」より 著者:坂口安吾
医者の先生が前山氏に一服もり、剣術の先生が夜中に前山氏を一刀両断にしても、オレは
憎めないよ。むしろ、その人を愛するな」 聞き手が両先生だけならよかったのだが、....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
ともかく当人がギリギリに追いつめられてセッパつまった感があるから、救いもあるし、
憎めないところもあるのが普通である。ハタの目から見れば、そうまでセッパつまらなく....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
りですね、私は殺されたあなたの兄さんよりも、このノロマの如くで素ばしこい御二方が
憎めないのですよ」 新十郎は暗い顔をそむけた。....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
を抱えながら呻くような声で云うのであった。 「ほんとにあの男も可哀そうだ。しかし
憎めない人間だよ。支那人に似合わない勇気もあって、なかなか面白いところがある」ラ....
「二十一」より 著者:坂口安吾
りが我々に感じさせる悪どいものはなくて、文学青年的な神経をもった根気のつづかない
憎めない人というような印象を受けた。膝つき合せれば何事でも腹蔵なく言い合えるよう....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
悩し、のたうちまわる。まことに壮観である。 だから彼が勝ち誇って傍若無人の時も
憎めない。そこにはカサにかかった悪意がなく、むしろ天真ランマン、悪童の弱点をさら....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
。僕は、あんまり、人をきらいになれない人間だ。腹は立てるが、きらいにはなれない。
憎めない。だから、女を誘惑しても、捨てるということが出来ない。しかし、一生捨てな....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
、本当に玄関傍の壁をぶち抜いて這入ったそうだが……」 土田はそういって、しかし
憎めないという風に微笑した。 「まるで自由党時代の人物だね」 と、私も苦笑する....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ず、孝行な他の賢い子より、そのやくざで嘘つきな息子の方が可愛ゆくて憎もうとしても
憎めない。 これは仏教でいう「人間の無明」といって心のなかに無智な感情がある(....