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憐み
「憐み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憐みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
大溝を愛した。それは或は愛よりも憐《あわれ》みに近いものだったかも知れない。が、
憐みだったにもせよ、三十年後の今日さえ時々彼の夢に入るものは未だにそれ等の場所ば....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
――この涙の谷に呻《うめ》き泣きて、御身《おんみ》に願いをかけ奉る。……御身の
憐みの御眼《おんめ》をわれらに廻《めぐ》らせ給え。……深く御柔軟《ごじゅうなん》....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
祷を凝《こ》らした。この垂れ髪の童女の祈祷は、こう云う簡単なものなのである。
「
憐みのおん母、おん身におん礼をなし奉る。流人《るにん》となれるえわの子供、おん身....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
ては、実際彼等の変心を遺憾とも不快とも思っていた。が、彼はそれらの不忠の侍をも、
憐みこそすれ、憎いとは思っていない。人情の向背《こうはい》も、世故《せこ》の転変....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
むらの上に薄い日の光をなすっています。僕はこう云う景色を見ながら、ふと僕等人間を
憐みたい気もちを感じました。……
M子さん親子はS君と一しょに二三日|前《まえ....
「星座」より 著者:有島武郎
ま我が耿々《こうこう》の志少なきを語るものにすぎずといえども、あるいは少しく兄の
憐みを惹《ひ》くものなきにしもあらじ。しかも古人の蹟を一顧すれば、たちまち慚汗《....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
は誰も持ち得ないのだ。そして誰でも寂しいのだ――復一は誰に対しても自分に対しても
憐みに堪えないような気持ちになった。 名月や湖水を渡る七小町 これは芭蕉の....
「河明り」より 著者:岡本かの子
男なら誰に対しても遂にそうなる運命の生物なのでしょうか」 青年の木下は、それを
憐みながら、いよいよ愛する娘を持て剰した。 「けれども、海は、殊に、南洋の海は…....
「火星兵団」より 著者:海野十三
る顔を上げた。すると火星人は、いつそこへ来たのか黒マントの丸木の前に、しきりに、
憐みを乞うている様子だった。
丸木は、首を横に向けた。すると、前にかしこまって....
「雨」より 著者:織田作之助
そのままはいっていた。国へ帰って百姓すると言った彼の貧弱な体やおどおどした態度を
憐み、お君はひとけのなくなった家の中の空虚さにしばらくはぽかんと坐ったきりであっ....
「健康三題」より 著者:岡本かの子
とも思わなかった。消えそうな少女は私の旺盛な生命の気に触れたがっているのだ。私は
憐み深く胸を出してやる。 春の浜別荘 暮から年頭へかけて、熱海の温泉....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
しばみ白々しい虚無的な余白ばかりを残して仕舞った。恰も自家中毒の患者を見るような
憐みさえ、かの女の心に湧いて来るのだった。そしてかの女はその心をどう表現して好い....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
連なる 奇禍危きに臨んで淵を測らず ※歩敢て忘れん慈父の訓 飄零枉げて受く美人の
憐み 宝刀|一口良価を求む 貞石三生宿縁を証す 未だ必ずしも世間偉士無からざるも....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
り。また一しきり、また一しきり、夜深くなりゆく凩の風。 神よ、めぐませたまえ、
憐みたまえ、亡き母上。 明治三十(一八九七)年一月....
「雨」より 著者:織田作之助
そのまゝはいっていた。国へ帰って百姓すると言った彼の貧弱な体やおど/\した態度を
憐み、お君はひとけの無くなった家の中の空虚さに暫くはぽかんと坐った切りであったが....