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「憐れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

憐れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
妖魔《ようま》じゃと思う。されば天上皇帝は、堕獄の業《ごう》を負わせられた姫君を憐れと見そなわして、予に教化《きょうげ》を施せと霊夢を賜ったのに相違ない。予がそ....
河童」より 著者:芥川竜之介
ちろん「生命の樹」を知っていたはずです。僕はこの教えに従わなかったトックの最後を憐れみましたから、長老の言葉をさえぎるようにトックのことを話し出しました。 「あ....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
いたなり、二階の寝室へ上《のぼ》って行った。そうして真暗な座敷の中へ、そっとこの憐れな動物を放した。犬は小さな尾を振りながら、嬉しそうにそこらを歩き廻った。それ....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
こえていた。仁右衛門は膝頭で腕を組み合せて、寝ようとはしなかった。馬と彼れは互に憐れむように見えた。 しかし翌日になると彼れはまたこの打撃から跳ね返っていた。....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
する時代を嗤《わら》い憐《あわ》れんでいるように、お前たちも私の古臭い心持を嗤い憐れむのかも知れない。私はお前たちの為《た》めにそうあらんことを祈っている。お前....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
。 恋――互いに思い合った恋と言ってもこれほどの執着はあり得まいと君自身の心を憐れみ悲しみながらつくづくと思う事がある。君の厚い胸の奥からは深いため息が漏れる....
親子」より 著者:有島武郎
事新しく言って聞かせるのも大人気ないが、そうかといって、農場に対する息子の熱意が憐れなほど燃えていないばかりでなく、自分に対する感恩の気持ちも格別動いているらし....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
児の如く私の眼に映るからだ。嬰児は何処をあてどもなく匍匐する。その姿は既に十分|憐れまれるに足る。嬰児は屡※過って火に陥る、若しくは水に溺れる。そして僅かにそこ....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
居たのであったが、舷に当る波が折れ返る調子に、くるりとさらったので、彼が云う様に憐れな甲虫は水に陥って、油をかけた緑玉の様な雙の翊を無上に振い動かしながら、絶大....
」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
、酒屋から家に帰りかかった酔漢であった。この男は目にかかる物を何でも可哀がって、憐れで、ああ人間というものは善いものだ、善い人間が己れのために悪いことをするはず....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
ろへ食物を運んでやっていた。子供らはラザルスを怖がりもしなければ、また往々にして憐れな人たちに仕向けるような悪いたずらをして揶揄いもしなかった。かれらはまったく....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
赦免は、犯せる罪の一切の結果が除き去られた暁に於てのみ、初めて可能だからである。憐れみは神に近いが、慈悲は寧ろ人間に近い。 われ等は、かの全然瞑想に耽りて、自....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
てていました。が、妙子は婆さんに頓着せず、おごそかに話し続けるのです。 「お前は憐れな父親の手から、この女の子を盗んで来た。もし命が惜しかったら、明日とも言わず....
狂人日記」より 著者:秋田滋
はそれが飲んでみたくなった。そして、舌の先を血に触れてみた。味が好かった。だが、憐れむべきその小鳥には、血が少ししかなかった。私は望んでいたほど長い間この快味を....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
のは、人の慾に憑いて邪心を追って来たので、優い婦は幻影ばかり。道具屋は、稚いのを憐れがって、嘘で庇ってくれたのであろうも知れない。――思出すたびに空恐ろしい気が....