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「憐愍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

憐愍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
桃太郎」より 著者:芥川竜之介
ひらぐも》のようになった鬼の酋長へ厳《おごそ》かにこういい渡した。 「では格別の憐愍《れんびん》により、貴様《きさま》たちの命は赦《ゆる》してやる。その代りに鬼....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
なんぞ渠のはなはだしく冷灰に似たるや。 欣弥はこの体《てい》を見るより、すずろ憐愍《あわれ》を催して、胸も張り裂くばかりなりき。同時に渠はおのれの職務に心着き....
軍用鮫」より 著者:海野十三
は、その電文を読んでも別に悲観の模様もなく、むしろはるかにチャンスカヤ某のために憐愍の情を催したくらいであった。 「軍用鮫は役に立って、みごとに軍船百七十隻を撃....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
まだ子供でもあり、どこまでも親のかたきを討つつもりでやった仕事ですから、上にも御憐愍の沙汰があって、遠島ということで落着しました。これが作り話だと、娘や芸妓や其....
婦系図」より 著者:泉鏡花
だ、と笑って、それからそれへ花は咲いたのだったが、しかし、気の毒だ、可哀相に、と憐愍はしたけれども、徹頭徹尾、(芸者はおよしなさい。)……この後たとい酒井さんの....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
てて、片手を空しく顔前にうち振り、彼の顔はキリストの前に立った罪人のように、百の憐愍を請うているのだった。『おれが悪かった! 何でも後から相談に応じるから、おれ....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
しや……」司令官は、何に駭いたのか、その場に、直立不動の姿勢をとり、湯河原中佐の憐愍を求めるかのように見えた。 「閣下、御安心下さい」中佐は、語尾を強めて云った....
赤外線男」より 著者:海野十三
なかったお念仏を口誦んだほどでした」 理学士は、そこで一座の顔を見廻わしたが、憐愍を求めるように見えた。 「それから、どうしたです」課長は尚も先を促した。 「....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
疵にも悩み易いように、常に彼もどろんとした憂鬱に陥っている。それでむす子は、何か憐愍のような魅力をこの男に感ずるらしい――。 むす子は男性に対しては感受性がこ....
奇賊は支払う」より 著者:海野十三
ところ、そこにふらふらになって倒れている夫人を見出したのであった。 氏は驚愕と憐愍に身をふるわせ、夫人を助け起し座敷へ連れこんだ。 それから気付け薬として、....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
、杖が鼻の椅子なりけり。 奇絶なる鼻の持主は、乞丐の徒には相違なきも、強ち人の憐愍を乞わず、かつて米銭の恵与を強いしことなし。喜捨する者あれば鷹揚に請取ること....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
涜するというものです」 「ジョヴァンニ。憐れむべきジョヴァンニ」と、教授は冷静な憐愍の表情を浮かべながら答えた。「僕はこの可憐な娘のことについて、君よりも、ずっ....
拷問の話」より 著者:岡本綺堂
さねて裁判を開くことを余儀なくされたが、そういう厄介な罪人に対しては係り役人らの憐愍も同情もなかった。吉五郎は吟味の役人に対して、先度の御吟味があまりに手痛いの....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
速に避け退き、ひたすら求道の一途に奔らねばならない。そこへ気が付けば馬翁に対する憐愍も十分、自分の繋縛の一つでないことはない。かくて慧鶴は思い切って馬翁に暇を告....
金山揷話」より 著者:大鹿卓
根拠があったんだと思うがな」 森山はまたそんな風にいい出して、何処までも市岡に憐愍をかんじている様子だった。 翌朝起きてみると、座敷は周囲の枯木とともに、雪....