»
憩い
「憩い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憩いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
井|紫玉が、 「まあ……前刻の、あの、小さな児は?」 公園の茶店に、一人|静に
憩いながら、緋塩瀬の煙管筒の結目を解掛けつつ、偶と思った。…… 髷も女優巻でな....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
… 一時間ばかり前の事。――樹島は背戸畑の崩れた、この日当りの土手に腰を掛けて
憩いつつ、――いま言う――その写真のぬしを正のもので見たのである。 その前に、....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
曲りたる処に鼻を凭たせつ、手は後様に骨盤の辺に組み合せて、所作なき時は立ちながら
憩いぬ。要するに吾人が腰掛けて憩うが如く、乞食僧にありては、杖が鼻の椅子なりけり....
「画室談義」より 著者:上村松園
刻の睡をむさぼってゆく。 ちょうど今頃の冬の季候には、猫たちにとっては実によい
憩い場所であるらしい。 万年青や葵などの植木鉢が置き並べられてあるその間をはな....
「地球要塞」より 著者:海野十三
かな反動があった。 「しばらく、ここで休むことにしよう」 私は、ここでしばらく
憩い、最前《さいぜん》から解き切れない謎を、どうにかして、ここで解いてしまうつも....
「涸沢の岩小屋のある夜のこと」より 著者:大島亮吉
自分たちはこれからこの涸沢のカールの底にある、自分たちにはもう幾晩かのなつかしい
憩いと眠りのための場所であった、あの岩小屋へと下りてゆくところだった。自分たちの....
「或る秋の紫式部」より 著者:岡本かの子
しの浄土があるのだ。人の世の果敢無さ、久遠の涅槃、その架け橋に、わたしは奇しくも
憩い度い……さあ、もう何も言わないでね。だいぶ暗くなったから、燈でもつけて、それ....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
夜明けであった。隅田川以東に散在する材木堀の間に挟まれた小さな町々の家並みは、やがて孵化する雛を待つ牝鶏のように一夜の
憩いから目醒めようとする人々を抱いて、じっと静まり返っていた。だが、政枝の家だけ....
「富士」より 著者:岡本かの子
鱸《すずき》のかかるのを待っている。 翁はときどき、ひょんなところで、ひょんな
憩い方をしていると、苦笑して悩みつつある一人ぼっちの自分を見出すのであったが、な....
「審判」より 著者:カフカフランツ
、緑の葉形模様でつくられていて、小さな天使たちがあるいは元気よく、あるいは静かに
憩いながら、その葉をつかんでいた。Kは説教壇の前に歩み寄って、八方から観察してみ....
「光は影を」より 著者:岸田国士
に講義とは関係のない、一連の文章にぶつかつた。 家ありて人は哀し 歓びは甘き忍従
憩いは恥じ知らぬ限り 家こそは愛と憎しみの嫡子 はた、夜と昼との落し子 恩恵の重....
「落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
た。若い頃、マルキシズムにはしったこともあったそうです。そんな父が、たった一つの
憩いの場所の家庭に於いて親しもうとしながら、かえって子供から、はなれられたことは....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
ば苦になって心が落ちつかない」 扇女のために危難を救われ、扇女の部屋でしばらく
憩い、もうよかろうという時になって、芝居小屋から旅籠へ戻り、今まで休んでいたので....
「岷山の隠士」より 著者:国枝史郎
あった。 まだ夜郎へ行き着かない中に、李白は罪を許された。 そこで江夏岳陽に
憩い、それから潯陽へ行き金陵へ行った。この頃李白は六十一歳であった。また宣城や歴....
「案内人風景」より 著者:黒部溯郎
した草野。そして辿り着いた尾根上の展望。三人はここにルックを投げだして暫く楽しい
憩いを続けるであろう。 目近かく仰ぎ上げる頂上を掠めて、白い雲が飛んでは碧空に....