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憶
「憶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
る、大きな真珠《しんじゅ》のネクタイピンを、子爵その人の心のように眺めたと云う記
憶があった。……
「どうです、この銅版画は。築地《つきじ》居留地の図――ですか。....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
》の籤《くじ》を引いた楓は、面体《めんてい》から持ち物まで、かなりはっきりした記
憶を持っていた。のみならず彼が二三日|中《うち》に、江戸を立って雲州《うんしゅう....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
の匂は何人《なんびと》も嗅《か》ぎたいと思うはずはない。けれどもあるお嬢さんの記
憶、――五六年|前《まえ》に顔を合せたあるお嬢さんの記
憶などはあの匂を嗅ぎさえす....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
心もちで、苦々《にがにが》しく聞いていた。と同時にまた、昔の放埓《ほうらつ》の記
憶を、思い出すともなく思い出した。それは、彼にとっては、不思議なほど色彩の鮮《あ....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
う》とを感じた。まったく、自分の住んでいる世界から遠ざかって、なつかしい思慕と追
憶との国にはいるような心もちがした。この心もちのために、この慰安と寂寥とを味わい....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
《はしらごよみ》を眺めていた。中学を卒業して以来、彼には何日《なんにち》と云う記
憶はあっても、何曜日かは終始忘れている。――それがふと彼の心に、寂しい気もちを与....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
――
半三郎はここまで覚えている。少くともその先はここまでのようにはっきりと記
憶には残っていない。何《なん》だか二人の支那人と喧嘩したようにも覚えている。また....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
いど》ばたへ顔を洗いに行った。しかし顔を洗った後《あと》でも、今しがた見た夢の記
憶は妙に僕にこびりついていた。「つまりあの夢の中の鮒は識域下《しきいきか》の我《....
「兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
れるし、よしんば悪い所を出しても同情してくれそうな心もちがする。又実際、過去の記
憶に照して見ても、そうでなかった事は一度もない。唯、この弟たるべき自分が、時々向....
「狂女」より 著者:秋田滋
をきかないんだからね。死んだ人たちのことでも考えていたのだろうか。はッきりした記
憶もなく、ただ悲しい夢ばかり見つづけていたのだろうか。それともまた、思想というも....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
はたしかに帰って来るものだ。現に私が彼の姿を見たのだからたしかである! 吾々の記
憶というものは、この世界などよりも遥かに完全な世界なのだ。記
憶は既に生存していな....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
譲ることにした。 ファラデーの心身は次第に衰弱して来た。若い時分から悪かった記
憶は著しく悪るくなり、他の感覚もまた鈍ってが見えると言ったら、その時ばかりは、残....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
の時分には当時の物語をする人もちょっとした都合のよいつくりごとで話に色をつけ、記
憶もはっきりしないので、手柄話があれば、なんでもかまわず、自分をその立役者にした....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
むかしどこかで出会ったことがあるような気がしたので、その日は夕がたまで、自分の記
憶を辿り辿り、あれかこれかと探してみた。だが、思いあたる男は、今ではもう老人にな....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
ものとはそもいかなるものであろう。それは、思惟によって、万物を反映する。なお、記
憶と意識とによって、世を要約し、世の歴史を自己の中に蔵めている。各個の人間は、物....