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懐かしい
「懐かしい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
懐かしいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
ッそのこと、レオナドのように、独身で、高潔に通した方が幸福であったかと、何となく
懐かしいような気がする。しかし、また考えると、高潔でよく引き締った半僧生活は、十....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
…。』 そう言われたかと見ると、次ぎの瞬間には、お爺さまの手の中に、私の世にも
懐かしい懐剣が握られて居りました。無論それは言わば刀の精だけで、現世の刀ではない....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
下どめ、髪の毛、干からびた花、――そんなものが急に思い出された。すると私の生涯の
懐かしい幾つかの小説が私をいつ果てるとも知れぬものの云いようのない憂愁の中に沈め....
「あのころ」より 著者:上村松園
ますが、あの頃は何ということなしに絵と夢とを一緒にして眺めていた時代なので私には
懐かしいものであります。 芝居の中村富十郎の似顔絵など、よしかんの店先に並んで....
「幼き頃の想い出」より 著者:上村松園
琴と北斎との※絵に絡まるエピソードを知るようになって、一層私は少女時代の絵本類に
懐かしい追憶を昂めました。 今更私が解き出すまでもありませんが、それは恰度「新....
「京のその頃」より 著者:上村松園
。そうしたお客さんが又、大抵みな若い女の人達なので、小町紅というと何とも言えない
懐かしい思い出がつきまとう気がする。 この頃の口紅というと、西洋から来たのだろ....
「孟母断機」より 著者:上村松園
亀遊」や「税所敦子孝養図」などと、一脈相通ずる、わたくしの教訓画として、今もって
懐かしい作のひとつである。 「その父賢にして、その子の愚なるものは稀しからず、そ....
「中支遊記」より 著者:上村松園
になつかしいものに聞こえた。激しい向い風のなかに見え始めた故国日本の姿はまったく
懐かしい限りであった。そのくせ帰りついて昨日まで支那人ばかり見ていたのに、四辺は....
「縮図帖」より 著者:上村松園
く、どんなに年数が経っても縮図帖さえひらけばそのときどきのことどもが想い出されて
懐かしいものである。 あああの絵は……そうだ、あそこの大きい縮図帖のどの辺に閉....
「四条通附近」より 著者:上村松園
、あの頃への思い出を描いたものであるが、いわば、わたくしひとりの胸の奥に残された
懐かしい思い出なのである。 ああした一連の風俗画は、わたくしひとりに描くことを....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
で自堕落の風のない、品がいいのに、媚かしく、澄ましたようで優容やか、お侠に見えて
懐かしい。ことに生垣を覗かるる、日南の臥竜の南枝にかけて、良き墨薫る手習草紙は、....
「明治懐顧」より 著者:上村松園
私が絵を習い始めた頃を想い出すと、まことに伸々として
懐かしいものが、数々あります。その頃(明治二十一年頃)京都には鈴木百年、松年、幸....
「随想」より 著者:上村松園
れ迄この会以外には見られない位に考えられる。のんびりとしたいい会であったと思うと
懐かしい。 せめてこの様な会が当節でも一つ位あったらよかろうにと折ふしに思われ....
「雨の宿」より 著者:岩本素白
の黒ずんだ、色彩の無い、常陸の国の川沿いの丘の宿に比べると、此処は雨もまた優しく
懐かしい。といって、今度の旅は単に京都の秋の景色に浸ってだけ居るわけにはいかない....
「六日月」より 著者:岩本素白
門は鎖して居るが、塀越しに見える庭に面した障子に、ともし火の影がほの黄色く浮んで
懐かしい。塀のそと、溝のほとり、もうすっかり女のような感じのする琴があるものだが....