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「懐く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

懐くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
地球発狂事件」より 著者:海野十三
世界に今も存在する少数の歪んだ視力の持主たちは、このウラル号を見て、ふしぎな感を懐くことであろう。これこそ呉越同舟だというかもしれない。 だがそんな見方は、始....
婦系図」より 著者:泉鏡花
た、目に恐ろしく威のある、品のある、眉の秀でた、ただその口許はお妙に肖て、嬰児も懐くべく無量の愛の含まるる。 一寸見には、かの令嬢にして、その父ぞとは思われぬ....
雛妓」より 著者:岡本かの子
れると先に口を切ったおふくろさんの方が好きなんだが、そうかなあ、矢張り娘は父親に懐くものかなあ」 そう言って、この際、充分に泣けよとばかりわたくしを泣かして置....
薬草取」より 著者:泉鏡花
、月が落ちて明方の闇を、向うから、洶々と四、五人|連、松明を挙げて近寄った。人可懐くいそいそ寄ると、いずれも屈竟な荒漢で。 中に一人、見た事のある顔と、思い出....
古狢」より 著者:泉鏡花
さえ往来をするようになって、松蔭の枝折戸まで、つきの女中が、柳なんぞの縞お召、人懐く送って出て、しとやかな、情のある見送りをする。ちょうど、容子のいい中年増が給....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
手に誘われない、自由にはならない処から、遠いが花の香とか云います。余計に私なんざ懐くって、(菖ちゃんお遊びな)が言えないから、合図の石をかちかち叩いては、その家....
南地心中」より 著者:泉鏡花
山の書割の立て掛けてある暗い処へ凭懸って、ああ、さすがにここも都だ、としきりに可懐く熟と視た。 そこへ、手水鉢へ来て、手を洗ったのが、若い手代――君が云う、そ....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
する。女はまた一つの青い色の罎を取出しましたから、これから怨念が顕れるのだと恐を懐くと、かねて聞いたとは様子が違い、これは掌へ三滴ばかり仙女香を使う塩梅に、両の....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
っと白い、派手な、品の可い顔を、ほんのり薄紅の注した美しい耳許の見えるまで、人可懐く斜めにして、 (失礼、今ね、お返事の出来ない処だったの……裸体美人、) と....
星女郎」より 著者:泉鏡花
跨で、やがて麓へ着いた時分、と、足許の杉の梢にかかった一片の雲を透かして、里|可懐く麓を望んだ……時であった。 今昇った坂|一畝り下た処、後前草がくれの径の上....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
古い伝説もある。そうした空気のなかで育てられたその当時の人たちが、こういう考えを懐くのはあながちに笑うべきではあるまいと、僕は郷里の人間を代表してここに一応の弁....
雪霊続記」より 著者:泉鏡花
魚乾、切干大根の酢、椀はまた白子魚乾に、とろろ昆布の吸もの――しかし、何となく可懐くって涙ぐまるるようでした、なぜですか。…… 酒も呼んだが酔いません。むかし....
三枚続」より 著者:泉鏡花
俗に聞えるけれども、静に聞召せ、色が白い。 これで七難を隠すというのに、嬰児も懐くべき目附と眉の形の物|和かさ。人は皆|鴨川(一に加茂川に造る、)君の詞藻は、....
囚われたる現文壇」より 著者:小川未明
ることの出来ない客観的の実在であると同時に、また極めて主観的な実在である。我々が懐く凡ゆる感情、例えば怒り、憎しみ、または愛にもせよ、凡ての感激、冒険といったよ....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
を備えている。これは、まあ私たち凡人にとっては理想の話ですが、一片の信念、信仰を懐くものは、いつとはなしに本然の(宇宙および自分にもとから備わっているところの)....