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「懐古〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

懐古の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
頼んだのを思い出した。また、それがないにしても、その時にはもう私も、いつか子爵の懐古的な詠歎《えいたん》に釣りこまれて、出来るなら今にも子爵と二人で、過去の霧の....
岩石の間」より 著者:島崎藤村
懐古園の城門に近く、桑畠《くわばたけ》の石垣の側で、桜井先生は正木大尉に逢った。....
旧主人」より 著者:島崎藤村
婆さんなあ、あの人が三の門の前に立ってると、お前許《まいんとこ》の旦那様と奥様が懐古園の方から手を引かれて降りて来たと言うよ。私《おら》嫌《いや》だ。お盲目《め....
芽生」より 著者:島崎藤村
角筈に住む水彩画家の風景画に私は到る処で出逢った。 「房ちゃん、いらッしゃい――懐古園へ花採りに行きましょう」 と、ある日お菊は姉のお房を呼んで、二人して私の....
運命」より 著者:幸田露伴
からずと雖も、此是れ緇を披て香を焚く仏門の人の吟ならんや。其の北固山を経て賦せる懐古の詩というもの、今存するの詩集に見えずと雖も、僧|宗※の評せしが如く、道衍の....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
四月の二十日頃に成らなければ、花が咲かない。梅も桜も李も殆んど同時に開く。城址の懐古園には二十五日に祭があるが、その頃が花の盛りだ。すると、毎年きまりのように風....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
た人たちのまいた種が深くもこの国の人々の心にきざして来たのだ。南朝の回想、芳野の懐古、楠氏の崇拝――いずれも人の心の向かうところを語っていないものはなかった。そ....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
、これには覚えがあるだろうが」 法水にそう云われて、里虹は慇懃に頷いた。彼は、懐古とも怖れともつかぬ異様な表情をして、凝っと伏目になっていた。 年のころは、....
光は影を」より 著者:岸田国士
吸をはずませて、受話器へどなりかけたが、なんの返事もなかつた。 彼は、昼頃まで懐古園のなかを歩きまわり、千曲川を見降ろす崖の上に立ち、うろ覚えのローレライを口....
露の答」より 著者:坂口安吾
名を用いるに当っても、之にこだわる思いが残って、加茂族の加茂を借用に及びいささか懐古の感慨を満した次第です。したがって、人物の変名につれ、町村山河の名も仮名です....
名古屋スケッチ」より 著者:小酒井不木
繁昌でもわかる。要するに、このやうな遊郭は、もう、新時代には適せぬのだ。いつそ、懐古趣味を発揮させようとするならば、うちかけを着せて張店を出すがよい。張店といへ....
案内人風景」より 著者:黒部溯郎
登山の発達というよりも、登山熱が、如何に彼らの姿を変えたかと考える時に、いささか懐古的な気持にならざるを得ない。いわば第二期に位する者に、現在、芦峅の平蔵があり....
西航日録」より 著者:井上円了
休泊所なり。ここに大谷光瑞上人に謁するを得たるも、また不思議の因縁なり。余、ガヤ懐古の題にて歌をつづる。 正覚のむかし思へばあかつきの星の光りもあはれなりけり ....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
む峰に来にけり 大海のながめにあきて見る山は、昔も今も喜望峰なり また、喜望峰懐古の一首を得たり。 阿海波如。 (阿の海の波は多くの山が重なるように寄せ、双輪....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
造に変っていた。この鉄橋の出来たのはまだ僕の小学時代である。しかし櫛形の鉄橋には懐古の情も起って来ない。僕は昔の両国橋に――狭い木造の両国橋にいまだに愛惜を感じ....