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懐胎
「懐胎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
懐胎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「牛肉と馬鈴薯」より 著者:国木田独歩
が、幸に小説にはなりませんでした。 「翌々日の新聞を見ると年は十九、兵士と通じて
懐胎したのが兵士には国に帰って了《しま》われ、身の処置に窮して自殺したものらしい....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
実を否認するわけには行かなかった。で、弁天堂へ日参をはじめてから、山城屋の女房が
懐胎してお此をうみ落したのは事実であると、利兵衛は云った。 「なにしろ困ったもの....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
組頭に取り立てられていた。二十一になった奥方のおさち殿が、この頃になって、初めて
懐胎されたことが分かった。 慶びが重なったので、家中がひとしお春めいた。例年よ....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
さなくとも互いにわかっている。心理状態も互いに顔色でもうわかってる。妻は八人目を
懐胎したのだ。 「ほんとに困ったものねい」 と、いうような言葉は、五人目ぐらい....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
のことを頼んでみた。一つには異状又は異状の痕跡の有る無しのこと、もう一つには妾の
懐胎の機能が健全であるか不健全であるかということ、この二つについて早速検べてくれ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
は贅沢だ。貧しい者は、其様な素生調に頓着しては居られぬ。金の二三十両もつければ、
懐胎の女でももらう。もと誰の畑であっても、自分のものになればさっさと種を蒔く。先....
「連環記」より 著者:幸田露伴
よい事と許されていた惰弱時代であったから、右衛門の母は兼盛と、手を繋いで居た間に
懐胎したが、何様いう因縁かで兼盛と別れて時用の許へ帰したのである。兼盛は卅六歌仙....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
でした。 夫婦仲は至って円満で、双方の親達も大そう悦こびました。これで間もなく
懐胎って、男の児でも生れれば、何のことはないのでございますが、そこがままならぬ浮....
「善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
「ところが、それが左様いかぬのだ」 軍十郎は暗然と云った。 「乃信姫君にはご
懐胎じゃ! 産み落すまでは姫へも其方へも指一本さすことならぬ! 箱根へ行け箱根へ....
「ある恋の話」より 著者:菊池寛
行(今で云う虎列剌)で、不意に死んでしまいました。 その時、祖母は私の妻の母を
懐胎していたのです。何しろ、先妻の子は四人――然もその長男は二十五にもなっていた....
「遺伝」より 著者:小酒井不木
私は、手早く受取って、消えかかった鉛筆の文字を読んだ。 「死刑ノ宣告ヲ受タル婦女
懐胎ナルトキハ其執行ヲ停メ分娩後一百日ヲ経ルニアラザレバ刑ヲ行ズ」....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
たと云うよりも寧ろ恐れたのであった。そんな状態で幾年かを無意味に送る間に、お杉は
懐胎して重太郎を生んだが、産後の肥立が不良いので久しく床に就いた。其隙を窺って重....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
の遥かな、太陽の生るるところより、生まんがために成牝らは来る。 彼女らは総てが
懐胎しているのだ。 身は重く、しかも心は強く、世界の母性として、彼女らは万里の....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
享保十九年)に 高島郡産所村。(上略)夫れ諸国に産所村あるは、往古神道盛にして、
懐胎の女臨月に及びて此の産所村に入りて、産後七十五日の汚穢を除き、本の村に還住す....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
みんなの口からささげられる。 「主のみ使いの告げありければ、マリアは聖霊によりて
懐胎したまえり……」 「カーン、カーン、カーン」 鐘は幾年ぶりに浦上の丘の上を....