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戯る
「戯る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
戯るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
て撞《つ》きぬ。渠は一言《いちごん》を発せず、世話人はすこぶる得意なりき。美人は
戯るるがごとくに詰《なじ》れり。 「馬丁さん、ほんとに約束だよ、どうしたってんだ....
「新生」より 著者:島崎藤村
て、ここへ暑《あつさ》を避けに来ている幾多の家族は皆友達のようであり、砂上に遊び
戯るる子供等を見るのも楽いと書いてよこした。とかく季候は雨勝ちであったが、幸いに....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
で心得て、この時は澄ましていた。やがて一羽ずつ密と来た。忽ち卯の花に遊ぶこと萩に
戯るるが如しである。花の白いのにさえ怯えるのであるから、雪の降った朝の臆病思うべ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
かな洗煉された調子で云った。
「いや、|打たれし牝鹿は泣きて行け、|無情の牡鹿は
戯るる――の方でしょうよ。しかし、先刻貴方は、僕が『ゴンザーゴ殺し』の中の|汝真....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
、当時どの校舎でも高く掲げた校旗も見られず、先生方にもあえず、余念もなく庭に遊び
戯るる男女の生徒らが声をも聞かれなかったが、卒業に近い課程を和助が学び修めている....
「蒲団」より 著者:田山花袋
切に思った。 三十四五、実際この頃には誰にでもある煩悶で、この年頃に賤しい女に
戯るるものの多いのも、畢竟その淋しさを医す為めである。世間に妻を離縁するものもこ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
を指点するに好い。翳ったり、照ったり、躁いだり、黙ったり、雲と日と風の丘と谷とに
戯るゝ鬼子っこを見るにも好い。白鯉の鱗を以て包んだり、蜘蛛の糸を以て織りなした縮....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
瓜に似て青し。白布にて蔽うたる一個の小桶を小脇に、柱をめぐりて、内を覗き、女童の
戯るるを視つつ破顔して笑う 朱の盤 かちかちかちかち。 歯を噛鳴らす音をさす。女....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
の影が映ったが、見つつ進む内に、ちらちらと紅来り、黄来り、紫去り、白過ぎて、蝶の
戯るる風情して、偈に斑々と印したのは、はや咲交る四季の花。 忽然として天開け、....
「雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
け」と称する仮装行列が行われた。これも真面目な勤勉な市民が羽目をはずして怠け巫山
戯る日であった。これは警察の方でとうに制限を加えたようである。 どんな勤倹な四....
「湖水と彼等」より 著者:豊島与志雄
。凡てのものの母であるというような広い心は、また只在ることの静かなる悦びは、渚に
戯るる小さい漣の音にも融けてゆく。生きることから解放されたような安易と、彼方の空....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
って居た、それよりもイベットの子供らしいとはいえ態と自分にからかって他の男に巫山
戯る様子にいくらかの嫉妬を感じた。だがそれよりも尚彼は連れの女の不思議な様子に気....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
た、おのずから忍びてあらんは如何はせん。言に打ち出でて男女のこと、人の上をも言い
戯るるこそ、似げなく見苦しけれ』と書き申したわ。」 「その見苦しいをよく弁えなが....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
らちらと紅に目を遮ったのは、倒に映るという釣鐘の竜の炎でない。脱棄てた草履に早く
戯るる一羽の赤蜻蛉の影でない。崖のくずれを雑樹また藪の中に、月夜の骸骨のように朽....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
君と赤羽から一緒に乗り込んだ越後女の一隊が、終夜声自慢の謡を歌うやら笑うやら巫山
戯るやら、一方ならぬ騒々しさで、夜風の涼しいにも拘らず、少しも眠ることが出来なか....