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「戸外〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

戸外の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
老年」より 著者:芥川竜之介
銀の鋏《はさみ》をつかうように、二声ほど千鳥が鳴いたあとは、三味線の声さえ聞えず戸外《そと》も内外《うち》もしんとなった。きこえるのは、薮柑子《やぶこうじ》の紅....
或る女」より 著者:有島武郎
底にころがっていたが、それをどうする事もできなかった。葉子の心は急に暗くなった。戸外の天気もその心持ちに合槌《あいづち》を打つように見えた。古藤はうまく永田から....
或る女」より 著者:有島武郎
聞こえて来た。天長節であるだけにきょうはことさらそれがにぎやかなのかもしれない。戸外にはぽくりやあずま下駄《げた》の音が少し冴《さ》えて絶えずしていた。着飾《き....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
のさのさと図抜けて大きな五体を土間に運んで行った。妻はおずおずと戸を閉《し》めて戸外に立っていた、赤坊の泣くのも忘れ果てるほどに気を転倒させて。 声をかけたの....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
が来る度毎に何か非常の手段を用いようかと案じているらしかった。 昼過きになると戸外の吹雪は段々鎮《しず》まっていって、濃い雪雲から漏れる薄日の光が、窓にたまっ....
火事とポチ」より 著者:有島武郎
ぐりにさぐったら大きなぞうりがあったから、だれのだか知らないけれどもそれをはいて戸外《そと》に飛び出した。戸外《そと》も真暗で寒かった。ふだんなら気味が悪くって....
星座」より 著者:有島武郎
く光っていた。それが部屋をよけい小暗く感じさせた。 隣りの部屋は戸を開け放って戸外のように明るいのだろう。そうでなければ柿江も西山もあんな騒々しい声を立てるは....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
中まで二人の間に取りかわされた楽しい会話を私は今だに同じ楽しさをもって思い出す。戸外ではここを先途とあらしが荒れまくっていた。部屋の中ではストーブの向かい座にあ....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
じゃい、お望の蛸の足を放りつけて上げますに。」と煙草を下へ、手で掬って、土間から戸外へ、……や……ちょっと投げた。トタンに相の山から戻腕車、店さきを通りかかって....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
穴の内部という感じがしなくなり、それに連れて私自身の気持もずっと晴れやかになり、戸外へ出掛けて漫歩でもして見たいというような風になりました。たしかにこちらでは気....
」より 著者:秋田滋
ころを嗅いでいる。そこで墓番のヴァンサンは、銃を手にして、四囲に気をくばりながら戸外へ出た。 すると犬は、ボネエ将軍路のほうを指して、一目散に駈けて行ったかと....
初雪」より 著者:秋田滋
家のほうへ帰って行った。時折り咳が出た。彼女はそのたびに立ち停った。余り晩くまで戸外にいたので、ほんの少しではあったが、彼女は悪感がした。 家へ帰ると、良人か....
寡婦」より 著者:秋田滋
晩餐をすますと、彼らは、広間に集って、たいして興もなげにロト遊びをしていた。戸外では風が鎧戸に吹きつけて騒々しい音をたて、また古めかしい風見を、独楽のように....
ドモ又の死」より 著者:有島武郎
て不精髭を生やさないことにしてくれ。 とも子 そんなこと、私がさせときませんわ。戸外にて戸をたたく音聞こゆ。 人の声 ええ、ごめんくださいまし、九頭竜でございま....
活人形」より 著者:泉鏡花
面白くなるだろうと思うのです。追々お談話申しましょう。と帽子を取って目深に被り、戸外へ出づればかの男は、何方へ行きけん影も無し。脱心たりと心|急立ち、本郷の通へ....