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戻し
「戻し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
戻しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
仲裁役を勤めるものは必ず看護婦の甲野だった。甲野は顔を赤めたお鈴を一生懸命に押し
戻しながら、いつももう一人の人間の、――じっとこの騒ぎを聞いている玄鶴の心もちを....
「春」より 著者:芥川竜之介
をした。と思うとたちまち微笑《びしょう》と一しょにもう一度|話頭《わとう》を引き
戻した。
「それよりもわたしの問題だわね、姉さんから話していただけない?」
「そ....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
とした上、鼻ばかり非常にひろがっている。幸いにそれでも彼の心は次第に落着きを取り
戻しはじめた。同時にまた次第に粟野さんの好意を無《む》にした気の毒さを感じはじめ....
「彼」より 著者:芥川竜之介
もあれは旺盛《おうせい》すぎてね。」
僕はもう一度一生懸命に沈み勝ちな話を引き
戻した。
「この間《あいだ》Kが見舞いに来たってね。」
「ああ、日帰りでやって来....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
ょいとその麻利耶観音を卓子《テーブル》の上から取り上げたが、すぐにまた元の位置に
戻して、
「ええ、これは禍《わざわい》を転じて福《さいわい》とする代りに、福を転....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
ビスケットの一片を勧めようとした。林大嬌はちょっと顔をしかめ、斜めに彼の手を押し
戻した。彼は同じ常談《じょうだん》を何人かの芸者と繰り返した。が、そのうちにいつ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
山は彼の方を見ずに、金格子《かねごうし》で囲《かこ》った本立てへ、大きな簿記帳を
戻していた。
「じゃ今向うからかかって来ましたぜ。お美津さんが奥へそう云いに行っ....
「路上」より 著者:芥川竜之介
《ソロイスト》と云うよりゃむしろ立派な色魔だね。」と、また話を社会生活の暗黒面へ
戻してしまった。
が、幸《さいわい》、その時開会を知らせるベルが鳴って、会場と....
「少年」より 著者:芥川竜之介
う映《うつ》しかたはわかったろう?」
父の言葉は茫然とした彼を現実の世界へ呼び
戻した。父は葉巻を啣《くわ》えたまま、退屈《たいくつ》そうに後ろに佇《たたず》ん....
「星座」より 著者:有島武郎
らくの間膝の上に乗せて伏眼になっていたが、やがて封筒に添《そ》えてそれを机の上に
戻した。そして両手で火照《ほて》った顔をしっかりと押えた。互に寄せ合った肘《ひじ....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
うん、輸入だ。」 彼等の問答はA中尉の耳にはいらずにはいなかった。彼はSを呼び
戻し、甲板の上に立たせたまま、彼等の問答の意味を尋ね出した。 「輸入とは何か?」....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
了いました。その時分の不安、焦燥、無念、痛心……今でこそすっかり精神の平静を取り
戻し、別にくやしいとも、悲しいとも思わなくなりましたが、当時の私どもの胸には正に....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
せる時、はげしき屈托の為めに欝屈せる脳力が、適宜の娯楽によりて完全なる働きを取り
戻した時こそは、他界の指導者が働きかけるのに、まさに絶好の機会なのである。そうし....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
いことを書いたものだった。のみならず黄いろい表紙をしていた。僕は「伝説」を書棚へ
戻し、今度は殆ど手当り次第に厚い本を一冊引きずり出した。しかしこの本も挿し画の一....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
、器械室なり実験室なりから、これを講堂に持ちはこび、用が済めば奇麗にして元の所に
戻して置くこと。修理を要するような場合には、幹事に報告し、かつ色々の出来事は日記....