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「戻す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

戻すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
《ひたい》に、かすかな憂鬱の色を浮べた。が、すぐにまた元の通り、快活な微笑を取り戻すと、悪戯《いたずら》そうな眼つきになった。 「もうそれで御用ずみ。どうかあち....
」より 著者:芥川竜之介
―それは神経衰弱に違いないさ。よろしい。さようなら。」 陳は受話器を元の位置に戻すと、なぜか顔を曇らせながら、肥った指に燐寸《マッチ》を摺《す》って、啣えてい....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
常な勢いで燃え上る新しい太陽の火熱は、カントの考えでは、すべてを最初の状態に引き戻すに十分であって、これによってこの新しい渾沌から再び新しい遊星系が形成せられ得....
鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
ようとするところだった。 「うぬッ――」 僕はふりかえりざま、二人を室内に押し戻すと、鉄扉をピシャンと閉めてしまった。いま一緒に出られては、すぐ監守に見つかっ....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
た。 「そうだナ――」頤髯男は、どッと、ぶつかってくる避難民の一人を、ウンと突き戻すと、クルリと後を向いて、夜光時計の文字盤を眼鏡にスレスレに近づけた。 「ああ....
海底都市」より 著者:海野十三
だから近世においては、食物でもって健康の失調をなおすのです。つまり、健康の水準に戻すために、一番適した料理をたべる。その人の健康がなおる料理だから、身体によく合....
天守物語」より 著者:泉鏡花
ら。ああ、釣れました。 薄 お見事。 と云う時、女郎花、棹ながらくるくると枠を巻戻す、糸につれて秋草、欄干に上り来る。さきに傍に置きたる花とともに、女童の手に渡....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
この歪みを、うまく取去ることが出来ると、ぱっと、目が覚めるように過去の記憶を呼び戻すことが出来るのですがね」 「なるほど、歪みを取去る方法ですか。それは、どうす....
宇宙戦隊」より 著者:海野十三
この艇の設計者は、よほどほめられてもいいと、山岸中尉は思った。 艇が安定をとり戻すと、こんどは急に一号艇のことが気になった。山岸中尉は、目をテレビジョンに持っ....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
くが、この病室では煙草を吸ってはいけないというきついお達しを急に思いだしては手を戻すのであった。 「ああ辛い。とんだ貧乏籤をひいたものだ。あの日本の小猿め、早く....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
件を小脇に抱える。 この腰の物は、魔除けに、と云う細君の心添で。細君は、白骨も戻すと極り、夜が明けると、ぱっと朝露に開いた風情に元気になって、洗面の世話をしな....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
影を口惜しそうに見つめていました。 「折角御嬢さんの在りかをつきとめながら、とり戻すことが出来ないのは残念だな。一そ警察へ訴えようか? いや、いや、支那の警察が....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
たりする。予期している結果を助手に話すこともある。 用が済むと、道具は元の所に戻す。 実験が済めば、室を出て階上に登って行き、あとは書斎。そうさせられた人か....
山吹」より 著者:泉鏡花
に見て頂きたいものがあるんです。(外套の袖を引く、籠れる力に、画家を小流の縁に引戻す)ちょっと御覧なさいまし。 鯉を指す、死したる鯉、この時いまだ客者の目につか....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
風雨の烈しい晩、休む時はさし措き、年月夜ごとにきっとである。 且つ仕舞船を漕ぎ戻すに当っては名代の信者、法華経第十六|寿量品の偈、自我得仏来というはじめから、....