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所嫌わず
「所嫌わず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
所嫌わずの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
《よめな》の花を摘み取っては、一斉《いっせい》に彼へ抛りつけた。薄紫の嫁菜の花は
所嫌わず紛々と、素戔嗚尊の体に降りかかった。彼はこの※《におい》の好い雨を浴びた....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
いては、シテなにがし。――山の草、朽樹などにこそ、あるべき茸が、人の住う屋敷に、
所嫌わず生出づるを忌み悩み、ここに、法力の験なる山伏に、祈祷を頼もうと、橋がかり....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
された。先度とおなじ蔵のまえに、かの重吉が死んでいるのであった。かれの顔や手先は
所嫌わずに掻きむしられていた。 かれも雷獣に襲われたらしかった。今度は尾張屋に....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
通ってくるんですって。それから、痺《しび》れがどこからとなくやってきて、身体中を
所嫌わず、這い摺るようになると、今まで見えていた血の管の色が、妙に黝《くろ》ずん....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
方がありません。
マルテ
それはお若いうちに、そんなに世界中をあちこちと
所嫌わずにお歩きになるのも好いでしょう。
でもいつかお年がお寄になって、
鰥夫の....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
鹿の角、人の骨、おシャリコウベ、それから蛇のぬけがら、いずれも不気味な品が雑然と
所嫌わずに置いてあるのです。しかも刀剣が八|口、槍が三本、鎧が二領、それらの中に....
「世界漫遊」より 著者:ダビットヤーコプ・ユリウス
れても、恥ずかしくない、意気な女だからである。どうもそれにしても、ポルジイは余り
所嫌わずにそれを連れ歩くようではあるが、それは兎角そうなり易い習だと見れば見られ....
「美醜」より 著者:豊島与志雄
、多くの虫が飛びこんできて、乱舞する。電灯を中心に、天井、床、机、私の身体など、
所嫌わず、飛び廻る。 虫を嫌う友人などは、そうした私の書斎に、眉を顰める。が私....
「坑夫」より 著者:夏目漱石
仕方がないから、紺《こん》の兵児帯《へこおび》を解いて、四つに折って、裸の身体中
所嫌わず、ぴしゃぴしゃ敲《たた》き始めた。それから着物を着た。そうして昨夜の柱の....
「道草」より 著者:夏目漱石
かいう話であった。彼は暗い櫺子のうちで転《ころ》げ廻った。惣身《そうしん》の肉を
所嫌わず掻《か》き※《むし》って泣き叫んだ。 彼はまた偶然広い建物の中に幼い自....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
見える二の腕、さては頬被りで隠した首筋から顔一面に赤黒い小粒な腫物《はれもの》が
所嫌わず吹き出ていて、眼も開けないほど、さながら腐りかけた樽柿《たるがき》のよう....
「日本の伝説」より 著者:柳田国男
を搗いて、これを藁製の馬に負わせ、道碌神の前までひいて行き、その餅を神様の石像に
所嫌わず塗りつけるそうであります。 町の児童も近い頃まで、「影や道碌神」と唱え....