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所有物
「所有物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
所有物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
のに、その時の涙は拭くあとからあとから流れ落ちた。その熱い涙はお前たちだけの尊い
所有物だ。それは今は乾いてしまった。大空をわたる雲の一片となっているか、谷河の水....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
与えた覚えはない。私は明かにそれらのものを私自身に与えているのだ。私は小鳥とその
所有物の凡てを残すところなく外界から私の個性へ奪い取っているのだ。見よ愛は放射す....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
はこれと反している。母親は本能的愛であたかも牝牛がその犢を舐めるがごとく、自己の
所有物のごとく、ときとしては玩具のごとく愛する。自己の個性を透し型にはめて愛する....
「海底都市」より 著者:海野十三
は困るじゃないか。死んじまったら、わしは免職だよ。それに第一、これは君たち両人の
所有物じゃないだろう、両人だけに勝手に処分されちゃ困るよ」 その声に聞き覚えが....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
いえ、存じません」 家政婦の声音は、尋常であった。 「亡くなったこの家の主人の
所有物ではないのかね」 「旦那さまがピストルをお持ちになっていたかどうか、わたく....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
ときにはね」 「それは有難い。課長あなたの河童の煙管の雁首のあたりまでがもう僕の
所有物にかわったですよ」 「なに、煙管の雁首がどうしたと……」 「しッ」と蜂矢が....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
見せられました。 遺言状 わたし、エミイ・カーチス・マーチは、正気にて
所有物全部を左記の如く分配します。父上には一ばんいい絵、スケッチ、地図、額ぶちづ....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
無一物という声がそのころはいつも耳の側で聞えていた。本一冊、銭一銭、もはや自分の
所有物というものをこの世の中に見出すことができなかつた。それはさびしいけれどもま....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
はわかりません……」私は老人を見守った。 「ここにある宮殿や庭園はみんなこの私の
所有物じゃ……四百余州の天も地も今では私の自由になる。私はそういう人間じゃ」 ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
美歌の本一冊、それから、こわれた調子笛が一つであった。学校の書物や道具類は、村の
所有物だったが、その他に、コットン・マザー老の「魔術の歴史」と、ニューイングラン....
「城」より 著者:カフカフランツ
した。起ったいっさいのことにもかかわらず、自分がこれまでに手に入れたものは一種の
所有物のようなものであり、なるほどまた見かけだけ確保しているにすぎないけれども、....
「審判」より 著者:カフカフランツ
はむしろ、集会の全員の前で侮辱されねばならないのです。監視人たちは、逮捕者たちの
所有物が持ってゆかれる倉庫のことばかりしゃべっておりましたが、私は一度これらの倉....
「国境」より 著者:黒島伝治
うにヒヒヒと笑った。 翌朝、おやじが、あたふたと、郭を探しにはいってきた。郭の
所有物を調べた。ズックの袋も、破れ靴も、夏の帽子も何一つ残っていなかった。 「く....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
をむいて、鰌を睨みつけた。 「この二木足の動物は、我らの共有物だ! おまえ一人の
所有物ではない」 そう言うて、蟹は二本の足で市長を抱きしめた。 それには〈め....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
くこれにつき観察して見よう。 1、傭兵制度 十八世紀の戦争は結局君主が、その
所有物である傭兵軍隊を使用して自己の領土権利の争奪を行なった戦争である。しかるに....