所謂[語句情報] » 所謂

「所謂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

所謂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
上の愉快としているのだった! 信輔は試験のある度に学業はいつも高点だった。が、所謂《いわゆる》操行点だけは一度も六点を上らなかった。彼は6と言うアラビア数字に....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
出来ないらしかった。けれども今はもう赤瓦《あかがわら》の家や青瓦の家の立ち並んだ所謂《いわゆる》「文化村」に変っていた。……… しかし「玄鶴山房」は兎《と》に....
疑惑」より 著者:芥川竜之介
一つ然るべき処置も取らない内に、残暑はまた朝寒《あささむ》に移り変って、とうとう所謂《いわゆる》華燭《かしょく》の典を挙げる日も、目前に迫ったではございませんか....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
毎日あのナポレオン一世を相手に、根気よく読書しているばかりで、いつになったら彼の所謂《いわゆる》『愛《アムウル》のある結婚』をするのだか、とんと私たち友人にも見....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
くるわ》に通い出した。相方《あいかた》は和泉屋《いずみや》の楓《かえで》と云う、所謂《いわゆる》散茶女郎《さんちゃじょろう》の一人であった。が、彼女は勤めを離れ....
片恋」より 著者:芥川竜之介
うでなかったら、私だって、とうの昔にもっと好い月日があったんです。」 それが、所謂片恋の悲しみなんだそうだ。そうしてその揚句に例《エキザンプル》でも挙げる気だ....
煙管」より 著者:芥川竜之介
きせる》に、眼を駭《おどろ》かした連中の中で、最もそれを話題にする事を好んだのは所謂《いわゆる》、お坊主《ぼうず》の階級である。彼等はよるとさわると、鼻をつき合....
黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
大学を卒業した、秀才の聞えの高い法学士である。且《かつ》また私の知っている限り、所謂《いわゆる》超自然的現象には寸毫《すんごう》の信用も置いていない、教養に富ん....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
激賞されるのは、不快であると共に、うしろめたい。 こう考えている内蔵助が、その所謂《いわゆる》佯狂苦肉《ようきょうくにく》の計を褒《ほ》められて、苦《にが》い....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
西郷隆盛の城山戦死を、無造作に誤伝の中へ数えようとする――それだけで、この老人の所謂《いわゆる》事実も、略《ほぼ》正体が分っている。成程これは気違いでも何でもな....
仙人」より 著者:芥川竜之介
衣裳の下から見える前足の蹠《あしのうら》がうす赤い。――この鼠が、これから雑劇の所謂《いわゆる》楔子《せっし》を演じようと云う役者なのである。 すると、見物の....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
われているのか? 幽霊などを見るからである。こう云う今人の論法は勿論《もちろん》所謂《いわゆる》循環論法に過ぎない。 況《いわん》や更にこみ入った問題は全然信....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
三十分の後《のち》、畢《つい》に鎖の断《た》たれる時は来た。もっともそれは常子の所謂《いわゆる》鎖の断たれる時ではない。半三郎を家庭へ縛りつけた人間の鎖の断たれ....
江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
江口は決して所謂快男児ではない。もっと複雑な、もっと陰影に富んだ性格の所有者だ。愛憎の動き方....
滝田哲太郎氏」より 著者:芥川竜之介
たであろう。 僕は滝田君の訃を聞いた夜、室生君と一しょに悔みに行った。滝田君は所謂観魚亭に北を枕に横わっていた。僕はその顔を見た時に何とも言われぬ落莫を感じた....