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手の平
「手の平〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手の平の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
すさらせ、慌《あわ》てて十字を切ろうとする。が、今度は切れないらしい。船長は星を
手の平にのせ、彼に「見ろ」と云う手真似をする。
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星をのせた船長....
「僕の帽子のお話」より 著者:有島武郎
たままで帽子のありかを探しているのではないかと思って、両手を眼の前につき出して、
手の平と手の甲と、指の間とをよく調べても見ました。ありません。僕は胸がどきどきし....
「星座」より 著者:有島武郎
眠りを眠っていたのだった。盗汗《ねあせ》が軽く頸のあたりに出ているのを気持ち悪く
手の平に感じた。
川音がしていた。
何時ごろだろうと思って彼はすぐ枕許のさら....
「春の鳥」より 著者:国木田独歩
また六蔵はじきに泣きます。母親が兄の手前を兼ねておりおりひどくしかることがあり、
手の平で打つこともあります、その時は頭をかかえ身を縮めて泣き叫びます。しかしすぐ....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
くなった。…… 急に大きな音がして、重い扉が閉ったので、僕はハッと気がついた。
手の平で素早く口のあたりを拭うと、自分が睡っていないことを衆人に知らせるためにわ....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
を云ってしまった。それは別に威張ったことではないが、「平」漁夫にはムッときた。相
手の平漁夫が、そして、少し酔っていた。 「何んだって?」いきなり怒鳴った。「手前....
「山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
の河原にきたころ日はようやく暮れて行った。この峰からたくさんな沢が下って、その行
手の平野に島のように見える山の右手に黒く見えるのが福島であろう。しかも下の谷には....
「二少女」より 著者:国木田独歩
もなく起って、朋輩の者皆んな喧噪く騒ぎ立てた、遂に係の技手の耳に入った。そこで技
手の平岡は田川お富に頼んで、お秀の現状を見届けた上、局を退くとも退かぬとも何とか....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
、俺は一度もしたことがない。にもかかわらず裏切られた。女の心というものは、ああも
手の平を飜えすように、ひっくりかえるものだろうか?」 考えながら歩いて行く。 ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
黙って歩いた。 「光り虫が」 と彼の女は立ち止まって海べにうずくまった。そして
手の平に海の水をすくいとった。 「これ、まだ光ってるわ」 「どれ」 と私は覗き....
「火の扉」より 著者:岸田国士
ます。平凡なことばが、どうしてこんなに力強い、美しいひゞきをもつものだろうと、相
手の平生を知つているだけに、わたくしは不思議に思われてなりません。 自分のこと....
「光は影を」より 著者:岸田国士
嘩別れをしたわけでもないでしよう?」 と、彼は、彼女のまだ冷たい指先を、自分の
手の平の間にはさんで、たずねる。 「喧嘩別れともいえないわ」 「僕はまた、長久保....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
るじゃあないか。気絶しているのか」 七三郎は黙ってそこへ娘を下した。そうして片
手の平で鼻を一つ擦り上げて、腮をしゃくって反り身になり、 「さあどうだ。二人とも....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
笑ってその取締のない事を嘲けるのです。そういう訳ですから、白いところと言ったらば
手の平と眼の玉とである。ほかは全く真っ黒である。
もっとも田舎人士の中でもその....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
トフェレス
いやはや。出世間で、しかも世間で、色気のある
壻様には困る。娘っ子が
手の平で円めますよ。
ファウスト
糞と火とから生れた畸形物のくせに。
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