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手を通す
「手を通す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手を通すの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ヰタ・セクスアリス」より 著者:森鴎外
》の襟が掛けてある。この中年増が所謂《いわゆる》番新というのであろう。女は黙って
手を通す。珍らしく繊《ほそ》い白い手であった。番新がこう云った。 「あなたもう遅....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
今、ちょっと行こうと思って……」 「行きたまえ。藤尾はいる」と甲野さんは素直に相
手を通す気である。小野さんは躊躇《ちゅうちょ》する。 「君はどこへ」とまた聞き直....
「明暗」より 著者:夏目漱石
」
お延はわざと反対を答えた。そうして窮屈そうな袖《そで》へ、もがくようにして
手を通す小林を、坐ったまま皮肉な眼で眺めた。
「どうですか」
小林はこう云いな....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
浴衣がある。琉球|紬の書生羽織が添えてあったが、それには及ばぬから浴衣だけ取って
手を通すと、桁短に腕が出て着心の変な事は、引上げても、引上げても、裾が摺るのを、....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
つけたのだった。服をつけながら何度も休まなければならなかった。上衣の袖《そで》に
手を通すだけでも、額から汗が流れた。
ひとりになってから彼は、控え室の方に寝台....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
海道|名題のボスで、土地のボスではなく、このボスに渡りをつけるには、土地のボスの
手を通す必要もあり、土地のボスもいくつかあるというわけで、それらにしかるべく顔を....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
ど偉大な怪物であったのである。父もたった一度身につけたなりで、またと再び大礼服に
手を通すことはなかった。 父は出世するだけ出世して罷めさせられたのである。それ....
「炎の人――ゴッホ小伝――」より 著者:三好十郎
人がちがったようにノロノロした動作で売台からおりて、ズボンのボタンをかけ、上着に
手を通す)……(非常に沈んだ声で)どうして、こうなんだろう僕は? ……ゴーガンは....
「母の手毬歌」より 著者:柳田国男
がくわえられ、繩のあまりを前のほうにまわして輪にするかわりに、べつにこれだけに両
手を通す紐をつけ、それも肩にくい込むのをふせぐために、その部分の紐をひろく、布の....
「鳩つかひ」より 著者:大倉燁子
と例の凄い脅し文句が書いてあると言うんだ」 捜査課長は立上りながら、外套に
手を通すと、 「さ、これから杉山氏の処へ急行だ。君も一緒に頼む」 緊張に面を硬....