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手切れ
「手切れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手切れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
鶴は今年の冬以来、どっと病の重った為に妾宅通いも出来なくなると、重吉が持ち出した
手切れ話に(尤もその話の条件などは事実上彼よりもお鳥やお鈴が拵《こしら》えたと言....
「二老人」より 著者:国木田独歩
いかわした女があった、いよいよ養子に行くときまるや五円で帯の片側を買って、それを
手切れ同様に泣く泣く別れた。第二に、案外片意地で高慢なところがあって、些細《ささ....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
んなさもしいことは言わない。千両箱を積んで八橋を請け出して、お前さんの眼の前にも
手切れ金の四百両、五百両をならべて見せるが、それが出来ない今の身の上となっては、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
衛から知らされて、お此は思う壷だと喜びました。こうなれば、お糸も伊之助とは確かに
手切れで、男は自分の独り占めだと喜んだのですが、唯それだけでは済ませません。その....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、女は嘲るように又云った。「そんなことを云ってうまく誤魔化して、十両にも足りない
手切れ金で、あたしを体よく追っ払おうとしても、そうは行きませんよ。あたしのような....
「姉川合戦」より 著者:菊池寛
せんとするや、到底信長に敵しがたきを知って極力|諫止せんとした。しかも、いよいよ
手切れとなるや、単身敵陣に潜入して、信長を討たんことを決心す。実に、浅井家無二の....
「川中島合戦」より 著者:菊池寛
文二十三年秋の半ばの頃とかや」と歌ってあるが、之は間違いである。 甲越二将が、
手切れとなったのは、天文二十二年で、爾来二十六年間の交戦状態に於て、川中島に於け....
「真田幸村」より 著者:菊池寛
あると云うが……昌幸六十七歳にて死す。昌幸死に臨み、わが死後三年にして必ず、東西
手切れとならん、我生きてあらば、相当の自信があるがと云って嗟嘆した。 幸村、ぜ....
「湯島の境内」より 著者:泉鏡花
ある、……下すったんだ、受取っておいておくれ。(渡す。) お蔦 (取ると斉しく)
手切れかい、失礼な、(と擲たんとして、腕の萎えたる状)あの、先生が下すったんです....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
その地所を母の名とする理由も消えるわけだ。されば母の方から言えば、その地所をこの
手切れとも言うべき三百円乃至五百円で売るということになるだろう。 僕はその土地....
「神サマを生んだ人々」より 著者:坂口安吾
ていただけと脅迫するんです。今までの恩返しに多くのことはするに及ばないが、応分の
手切れ金をいただいてそれを置いて出て行けと云うんです。どなたかの二号にしていただ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
が、船主にさえもそうであるらしい。ミルン氏の言うには、航海が終わって、給金済みの
手切れになると、クレーグ船長はどこへか行ってしまって、そのまま姿を見せない。再び....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
お葉という女は、どんな素性来歴の者か知らぬが、豪家の息子を丸め込んで、揚句の果に
手切れとか足切れとか居直るのは、彼等社会に珍しからぬ例である。殊に此方は婚礼を眼....
「俗臭」より 著者:織田作之助
たと見る可きだ。「賀来子は何の欠点もないのに一生棒に振るのや。如何いする?」暗に
手切れ金のことをほのめかしたのだ。それ位は権右衛門も出してもよいだろう。千円の金....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
敷包み一つと、鏡つきの花嫁をもらったが、どうしたわけか、そりが合わず、結局五円の
手切れ金を出して間もなく別れてしまった。こうした間にも芸者の出入りは続き、むしろ....