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手前勝手
「手前勝手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手前勝手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
かよ。」
「きくまでもないわ。」
「できまいな」
「おお、できない。」
「それが
手前勝手じゃ。よいか。沙金《しゃきん》はおばばのつれ子じゃよ。が、わしの子ではな....
「河童」より 著者:芥川竜之介
から。
「しかし両親のつごうばかり考えているのはおかしいですからね。どうもあまり
手前勝手ですからね。」
その代わりに我々人間から見れば、実際また河童《かっぱ》....
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
なければなりません。
小野の小町 (玉造の小町に)まあ、何と云う人聞きの悪い、
手前勝手な理窟《りくつ》でしょう。
玉造の小町 (小野の小町に)ほんとうに男の....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
の探索を依頼した。遠慮のない相手に向って放つその声には自分が世話をしている青年の
手前勝手を詰《なじ》る激しい鋭さが、発声口から聴話器を握っている自分の手に伝わる....
「軍用鮫」より 著者:海野十三
ろしくそっちのフィルム係を督戦したまえと、すぐに電信をうってやりたまえ。じ、実に
手前勝手なことをいってくる政府だ」 と、楊《ヤン》博士はかんかんの態である。 ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
与四郎の名を通していたのだったが、以後、蛍雪は与四郎を相手させることに凝り出し、
手前勝手に鼈四郎と呼名をつけてしまった。娘の姉妹もそれについて呼び慣れてしまう。....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
霊、祟、物怪を済度しようなどという道徳思いも寄らず。実は入道|名さえ持ちません。
手前勝手、申訳のないお詫びに剃ったような坊主。念仏さえ碌に真心からは唱えられんで....
「家庭愛増進術」より 著者:岡本かの子
算的な仕向けをするという卑しい考えからでは無くて、自分の身辺を晦まして置くという
手前勝手を許さない事になり、また本当に自分の親愛なものの心を停滞させ腐敗させ無い....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
も、何かと御心配でありましょう。」 「へい、その事に就きまして、唯今はまた飛んだ
手前勝手な御難題、早速|御聞済下さいまして何とも相済みませぬ。実は私からお願い申....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
むきぬ。 「堪忍しておくれ、もう私ゃそういわれると、申訳のしようがないよ。つい、
手前勝手で、お前さんを私が処へ引張っておいて、こんなに甲斐性がないんだものね。あ....
「有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
いながら、出来るものならば牛を馬に乗りかえて更にお筆と結婚しようとする、わが子の
手前勝手をも憎まずにはいられなかった。 「今のわかい人たちにも困るね。」 こう....
「唇草」より 著者:岡本かの子
におれは独りで悲しみや寂しさを味わう方が、幸福に想える不思議な人間だ」 これが
手前勝手ばかりの男のいうことであろうか。栖子はこういう時の尾佐の頭に、恋愛時代に....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
達の総代に麹町の宝物を稲荷町までお遣わしで、私に一杯振舞うてくれる気、と、早や、
手前勝手。飲みたいばかりの理窟をつけて、さて、煽るほどに、けるほどに、五助さん、....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
が、同時に我儘な気難かし屋であった。が、二葉亭のこの我儘な気難かし屋は世間普通の
手前勝手や肝癪から来るのではなくて、反覆熟慮して考え抜いた結果の我儘であり気難か....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
衰弱も甚しい、あれではまるで狂人だ。公使に頼まれていればこそのお相手なのに、余り
手前勝手にもほどがある。と勝田さんのとった態度に頗る不快を覚えて静かな往来を一人....