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手口
「手口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼」より 著者:芥川竜之介
た。僕は番茶の渋《しぶ》のついた五郎八茶碗《ごろはちぢゃわん》を手にしたまま、勝
手口の外を塞《ふさ》いだ煉瓦塀《れんがべい》の苔《こけ》を眺めていた。同時にまた....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ゃないか。」 目配せをすると、お源は莞爾して俯向いたが、ほんのり紅くした顔を勝
手口から外へ出して路地の中を目迎える。 「奥様は?」 とその顔へ、打着けるよう....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
のは、これも気持ちのいいことの一つだ。その庭の片端の僕の方に寄ってるところは、勝
手口のあるので、他の方から低い竹垣をもって仕切られていて、そこにある井戸――それ....
「三角形の恐怖」より 著者:海野十三
をつけることも、少々冒険ではありましたが、やって見ました。これは帽子もかむらず勝
手口の傍で草でもむしっているような恰好をすれば、郵便配達夫は何の疑いもなく郵便物....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
が、最近その痣蟹が内地へ帰ってきているというじゃありませんか。こんどの殺人事件の
手口が、たいへん惨酷なところから考えてあの痣蟹仙斎が始めた仕業だろうという者があ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
婆さんに試されたか、と一旦は存じましたが、こう笠を傾けて遠くから覗込みました、勝
手口の戸からかけて、棟へ、高く烏瓜の一杯にからんだ工合が、何様、何ヶ月も閉切らし....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
しょう。……それに、御近所の方、おかみさんたちが多勢、井戸端にも、格子外にも、勝
手口にも、そうしてあの、花嫁、花嫁。……」 「今も居ます。現に居ます、ごめんなさ....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
畳ばかりの休息所がある。向うが破襖で、その中が、何畳か、仁右衛門堂守の居る処。勝
手口は裏にあって、台所もついて、井戸もある。 が謙造の用は、ちっともそこいらに....
「昔のことなど」より 著者:上村松園
に行っていられました。そして夜になって帰られるのですが、その頃から御池のお宅の勝
手口は門口から石畳みの露地になっていまして、そこをカランコロンと下駄の音がして来....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
そぎ殺いで取ったように火屋の外へふッとなくなる。 「厭だ、消しちまった。」 勝
手口は見通しで、二十日に近い路地の月夜、どうしたろう、ここの戸は閉っておらず、右....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
下に仏頂面を並べたのが、じろりと見て、中にも薄髯のある一体が、 (用があるなら勝
手口へ廻れ、)とつッけんどんに陀羅尼音でいったのである。 対手は馬二匹と男が三....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
個、掌に据えて、ト上目づかいに差出した。それは読めたが、今声を懸けたばかりの、勝
手口の腰障子は閉まったり、下流の板敷に、どッしり臀を据えて膝の上に頤を載せた、括....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
と留んで、 「おや、また寝そべってるよ、図々しい、」 叱言は犬か、盗人猫か、勝
手口の戸をあけて、ぴッしゃりと蓮葉にしめたが、浅間だから直にもう鉄瓶をかちりとい....
「活人形」より 著者:泉鏡花
くれぐれも脱心なよ。「合点だ。と鉄の棒の長さ一尺ばかりにて握太きを小脇に隠し、勝
手口より立出しが、この家は用心厳重にて、つい近所への出入にも、鎖を下す掟とかや。....
「雨の宿」より 著者:岩本素白
口に、大勢並んで靴の紐を結べるような造りではなく、門をはいった突き当りが薄暗い勝
手口で、横手の玄関に小さい古びた衝立を据えたところなども、土地馴れない眼には漢方....