手当り[語句情報] »
手当り
「手当り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手当りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「深夜の市長」より 著者:海野十三
とだ。吾輩の邸は、恐るべき暴漢の一味によって襲撃された。暴漢は土足のまま闖入し、
手当り次第什器を破壊し、婦人の寝室を襲い、吾輩を人事不省に陥れて手籠めにした。暴....
「蠅男」より 著者:海野十三
あげられた棚を叩き壊し、それから後を追ってくる弥次馬に向って、林檎だの蜜柑だのを
手当り次第に抛げつけだしたのである。生憎その一つが、折から騒ぎを聞いて駈けつけた....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
て往来に出ると、北の方から無数の赤とんぼがいわゆる雲霞の如くに飛んで来る。これを
手当り次第に叩き落すと、五分か十分のあいだに忽ち数十匹の獲物があった。今日の子供....
「獄中記」より 著者:大杉栄
強盗殺人君はよく北海道から逃亡した時の話をした。一カ月ばかり山奥にかくれて、
手当り次第に木の芽だの根だのを食っていたのだそうだが、 「何だって食えないものは....
「転機」より 著者:伊藤野枝
た女と二人いた。私はかねがね谷中の居残った人達が、だんだんに生計に苦しめられて、
手当り次第な仕事につかまって暮らしているというようなことも聞いていたので、この二....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
」と、男は返る。 亭主帳場から背後向きに、日和下駄を探って下り、がたりびしりと
手当り強く、そこへ広蓋を出掛ける。ははあ、夫婦二人のこの店、気の毒千万、御亭が出....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
いたのではないか。新吉は油断をせずにとぼけた。 ――あしたは世間並の青年になって
手当り次第巴里中を踊り抜くつもりですよ。」 ――そりゃ楽しみですね。国元の奥様の....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
少しも違わない部屋でありまする。 阿房宮より可恐しく広いやと小宮山は顛倒して、
手当り次第に開けた開けた。幾度遣っても笥の皮を剥くに異ならずでありまするから、呆....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
のだった。のみならず黄いろい表紙をしていた。僕は「伝説」を書棚へ戻し、今度は殆ど
手当り次第に厚い本を一冊引きずり出した。しかしこの本も挿し画の一枚に僕等人間と変....
「故郷」より 著者:井上紅梅
」 母はそういいながら室の外を見た。 「おやまた誰か来たよ。木器買うと言っては
手当り次第に持って行くんだから、わたしがちょっと見て来ましょう」 母が出て行く....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
ては、何んの造作も無いので有った。一座を脱出する時に、変り易い秋の空を気遣って、
手当り次第に雨傘を持出したのが、図らず此所で役に立った。太夫身支度の間今一|囃子....
「著作権の問題」より 著者:伊丹万作
さて、眼が覚めたら諸君の周囲にうずたかく積まれたままになつている無数の問題を
手当り次第に一つ一つ片づけて行つてもらわねばならぬ。中でも早速取り上げてもらわね....
「思い出草」より 著者:岡本綺堂
って往来に出ると、北の方から無数の赤蜻蛉がいわゆる雲霞の如くに飛んで来る。これを
手当り次第に叩き落すと、五分か十分の間に忽ち数十|疋の獲物があった。今日の子供は....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
る。 鴎外の博覧強記は誰も知らぬものはないが、学術書だろうが、通俗書だろうが、
手当り任せに極めて多方面に渉って集めもし読みもした。或る時尋ねると、極細い真書き....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
束なくなる。そのとき殆ど昏睡状態の人の手が反射神経で畳の上の錐をふらふら拾い取り
手当り次第に、膝を組んでいる脚の部分に突き立てる。白金色の痛みは身体中に拡大し、....