手後れ[語句情報] » 手後れ

「手後れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

手後れの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
家へ連れて往って、火傷部に襤褸を被せて、其まゝにして置いた。医者が来た頃は、最早手後れになって居た。墓守が見舞に往って見ると、煎餅の袋なぞ枕頭に置いて、アアン※....
格子縞の毛布」より 著者:宮本百合子
鼻に押し当てて嗅いで見た。――悲しいことに、いほの気のつきようがおそかった。もう手後れであった。可愛い花友禅の襦袢も、つるつる光る紫繻子の伊達巻も、色こそもとの....
白い蚊帳」より 著者:宮本百合子
専門医に見せることを勧めた。 「何でも糖尿病と更年期に押しつけて置いて、ほんとに手後れにでもなったら大変よ」 昌太郎は、 「うむ、うむ、いやその通りだ」 と、....
日は輝けり」より 著者:宮本百合子
消えた。 三 お咲の病気は、皆が予期していたより大病であった。手後れと、無理な働きをしたのが、一層重くさせていた。骨盤結核という病名で、お咲は....
十二支考」より 著者:南方熊楠
から参宮に出掛けよとか、ソラ国費を以て某々の社を廓大しようとか大騒ぎに及ぶは既に手後れの至りで、汝の罪汝に報う「世の中の、うさには神もなき物を、心のどけく何祈る....
私たちの建設」より 著者:宮本百合子
手に梅干に出来ないという状態で暮して来た。食糧の計画的生産、計画的配給は日本では手後れに計画されて、しかも各生産部門における能率低下の原因と反比例する増産の必要....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
血留めをしておいて、さて応急の手当を試みようとしたけれど、遺憾ながら、それはもう手後れでありました。打倒れた途端に、斬られた右の肩先から、ほとんど全身の血を土に....
田原氏の犯罪」より 著者:豊島与志雄
に本当はお前よりか俺の方が余計重夫のことを心配していたんだ。」 「それでももしか手後れでもして赤痢にでもなったら、取り返しがつかないではありませんか。」 「そう....
香奠」より 著者:豊島与志雄
たり、看護婦をたのんで酸素吸入をさしたり、出来るだけのことはしたそうですが、もう手後れだったのです。電話を聞いて私がやっていった時には、彼は胸に波打たして※き苦....
古井戸」より 著者:豊島与志雄
る房子へ、松木は平然と云った。それを聞くと彼はかっとなった。 「然し何だか……。手後れになっても構わないんですか。」 「大丈夫です。」 彼は坐り直して、松木の....
自由人」より 著者:豊島与志雄
先生にも診て貰ってない、と聞いたものだから、驚きましたね。御存知の通り、僕の父は手後れで、あんなことになりましたが、その父が、つくづく言いました。人間、年をとる....
イオーヌィチ」より 著者:神西清
ら冷やかな重くるしい片はしが、こんな理屈をこねていた。―― 『思いとまるんだね、手後れにならんうちにな! あれがお前の手に合う女かい? あれは甘やかされ放題のわ....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
薬を拵えて水腫病の患者に与えました。ところが十中の六、七人は不思議に治った。もう手後れになって居るものはもちろん治らなかったですけれども、その事が非常に評判にな....
三月の空の下」より 著者:小川未明
いあわせたのです。 「あんなになるまで、医者にかけないという法はないのだが、もう手後れであるかもしれない。」 悲壮な気持ちで、門を入ろうとすると、内部からがや....