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手心
「手心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
日本の名誉領事をしているかなりの鉄物商の店にまず住み込んで米国における取り引きの
手心をのみ込むと同時に、その人の資本の一部を動かして、日本との直《じか》取り引き....
「或る女」より 著者:有島武郎
のある、しっかりした一人《ひとり》の女性を思わせた。貞世もそういう時の姉に対する
手心《てごころ》を心得ていて、葉子から離れてまじめにすわり直した。こんな時うっか....
「人間失格」より 著者:太宰治
「うん、それでだいたいわかった。何でも正直に答えると、わしらのほうでも、そこは
手心を加える」 「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」 ほとんど入....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
どうなるかと案じていましたが、なにしろ伝蔵の罪科明白なので、上《かみ》にも相当の
手心があったのでしょう。案外無事に済みました」 「その脇指はどうなりました」 「....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
時代だからといって、芝居や講釈でする大岡|捌《さば》きのように、なんでも裁判官の
手心《てごころ》ひとつで決められてしまっちゃあ堪まりません。勿論、多少は係りの奉....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
こんなに大きくしようとはしたろう。 こう云ったとて私は、世の義人に偽善者を裁く
手心をゆるめて貰いたいと歎願するのではない。偽善者は何といっても義人からきびしく....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
んだ柄杓は中々上ろうともしない。最後に主人の彼が引受け、以前相模の海で鱚を釣った
手心で、錨索をとった。偖熱心に錨を上げたり下げたりしたが、時々はコトリと手答はあ....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
手に私的個人的な世界にまで踏み込むものだったのだから、可なりの解釈の自由・寛厳の
手心・が予定されているわけで、それだけアービトラリな主観的なものに根拠を置いてい....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
失がなければ気がおちつく、特に試合になれぬチームに対してはノッカーはよほど寛大に
手心せねばいたずらに選手をあがらしてしまうおそれがある。 なにを思ったか安場の....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
附って見るも手廻しが早いでごわす。久しく県庁に勤めたで、大なり、小なり議員を扱う
手心も承知でごわす。」などという段取になってるそうだ。」 弦光がこの時、腕を拱....
「桂馬の幻想」より 著者:坂口安吾
に車にしばりつけましてね。ガッタンゴットン荒れ放題にひきずり降すんでしょう。ま、
手心次第というものですね。闇夜のことだし。病死は絶対なんですがね」 「なるほど。....
「火の扉」より 著者:岸田国士
は、たゞ、ふくれていた。 それはたしかにそうなのである。最近、べつに、ことさら
手心を加えているつもりはないのに、夫のあのことがあつて以来、むすこの日常にどこか....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
む形となって縁起を取るのであるが、その曲げようにも、老人の語る処によると、やはり
手心があって、糸などを使って曲げを吊っていたり、厚ぼったかったりするのは拙手なの....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
しょう、首領、わっしだって親方の御世話になってから三年になりますもの……ちったあ
手心も解って来てますよ……』 『そりゃ、解っておるだろうさ。それだけになお心配な....
「とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
促して取立て、前借りをもう少し引緊めて拒絶する。その代り売値の価を廉くする。この
手心一つにあった。結局、河岸の伝統を捨てて普通の商人の態度になればよかったのだ。....