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「手摺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

手摺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
ばかりの金箔《きんぱく》を押した歩衝《ついたて》である。Kの説によると、これを「手摺《てす》り」と称するので、いつでも取壊せるように出来ていると云う。その左右へ....
或る女」より 著者:有島武郎
いと思った所に寝ていた自分を見いだした。その夕方、同じ旅籠屋《はたごや》の二階の手摺《てすり》から少し荒れたような庭を何の気なしにじっと見入っていると、急に昨夜....
ある崖上の感情」より 著者:梶井基次郎
田舎の家の前を通っている街道に一つ見窄《みすぼ》らしい商人宿があって、その二階の手摺《てすり》の向こうに、よく朝など出立の前の朝餉《あさげ》を食べていたりする旅....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
がある。僕が居ない時は機織場《はたおりば》で、僕が居る内は僕の読書室にしていた。手摺窓《てすりまど》の障子を明けて頭を出すと、椎の枝が青空を遮《さえぎ》って北を....
地球発狂事件」より 著者:海野十三
あがっていた。海水も大西洋らしい青味を帯びた色に変った。 ドレゴと水戸は、船の手摺《てすり》にもたれて、矢のように北へ逃げて行く海波の縞に見惚れていた。 「ど....
三人の双生児」より 著者:海野十三
してよみだした。 「ほう、こんなことが出ていますわ。――二月一日、『タラップ』ノ手摺ヲ修繕スル。相棒ガ不慣デナカナカ捗ラヌ。去年ノ今頃モ修繕シタコトガアッタッケ....
闖入者」より 著者:大阪圭吉
うと、なに思ったのか大月はさっさと二階へ上っていった。そして東室の窓を開けると、手摺に腰掛けて、阿呆のように外の景色に見惚れはじめた。 いつ見ても、晴れた日の....
古狢」より 著者:泉鏡花
振返って見たので知れる。 「……あすこに人が一人立っているね、縁台を少し離れて、手摺に寄掛って。」 「ええ、どしゃ降りの時、気がつきましたわ。私、おじさんの影法....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
顕しても、十町三方、城下を往来の人々が目を欹れば皆見える、見たその容子は、中空の手摺にかけた色小袖に外套の熊蝉が留ったにそのままだろう。 蝉はひとりでジジと笑....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
待てと呼び戻しながら続いて出ると、Fはわたしを見返りもせずに、階段を跳ね降りて、手摺りに取りついて、一度に幾足もばたばたさせながら、あわてて逃げ去った。わたしは....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ますます強めるものであった。 この後、彼は私の存在を忘れたように、黙って船尾の手摺りによりかかって、一部分は暗く、一部分は月の光りにおぼろに輝いている大氷原の....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
の先生が納まらない。中程からだんだんに騒ぎ出して、声をあげて笑う者がある。桟敷の手摺りをたたく者がある、しまいには鬨をつくって囃し立てるという未曾有の騒擾を演出....
久保田米斎君の思い出」より 著者:岡本綺堂
。私は実はあの頃の湯殿がどんなものだか知らないんですが、縁側みたいなものがあって手摺がついている。花活に花が活けてあったりして、何だか妙なものだと思ったけれども....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
。 形|面白き柳の巨木の、水に臨んで、幾株か並んでいる広い河原、そこに架けたる手摺なき長い橋を渡ると鰍沢の町だ。私は右側の粉奈屋という旅店に投じた。丁度三時半....
書を愛して書を持たず」より 著者:小川未明
半期を入れて一ヶ年にしたら、夥しき数に上るでありましょう。この点近代人が、木版、手摺の昔の出版界時代を幼穉に感ずるのも無理がありません。 しかし、こうして月々....