手近[語句情報] »
手近
「手近〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手近の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ろに太刀の柄から手を離すと、彼自身をあわれむように苦笑をくちびるに浮かべながら、
手近の古畳の上へしぶしぶ腰をおろした。
「おぬしを殺すような太刀は、持たぬわ。」....
「母」より 著者:芥川竜之介
、長々《ながなが》と腹這《はらば》いになっている。が、その声が聞えないのか、男は
手近の灰皿へ、巻煙草《まきたばこ》の灰を落したきり、新聞から眼さえ挙げようとしな....
「影」より 著者:芥川竜之介
へ、まともに視線を焼きつけている。
房子は全身の戦慄《せんりつ》と闘いながら、
手近の壁へ手をのばすと、咄嗟《とっさ》に電燈のスウィッチを捻《ひね》った。と同時....
「河童」より 著者:芥川竜之介
となどに憤慨したりするのは感傷主義ですよ。」
こういう問答を聞いていたゲエルは
手近いテエブルの上にあったサンドウィッチの皿を勧めながら、恬然《てんぜん》と僕に....
「路上」より 著者:芥川竜之介
、逡巡《しゅんじゅん》の視線を漂わせていると、気の利《き》いた給仕が一人、すぐに
手近の卓子《テエブル》に空席があるのを教えてくれた。が、その卓子《テエブル》には....
「或る女」より 著者:有島武郎
分でも言い現わす事のできない何物かを逐《お》い求めていた。その何物かは葉子のすぐ
手近にありながら、しっかりとつかむ事はどうしてもできず、そのくせいつでもその力の....
「或る女」より 著者:有島武郎
かたわたしが求めていたものはとうとう来《こ》ようとしている。しかしこんな事がこう
手近にあろうとはほんとうに思いもよらなかった。わたしみたいなばかはない。この幸福....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
じゃろうと思った。」
上人《しょうにん》はちょっと句切って、
「いや、お前様お
手近じゃ、その明《あかり》を掻《か》き立ってもらいたい、暗いと怪《け》しからぬ話....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
長と自由とのために、愛によって外界から奪い得るものの凡てを奪い取ろうとする。愛は
手近い所からその事業を始めて、右往左往に戦利品を運び帰る。個性が強烈であればある....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
らの同輩のように考えているのである。一体世界の製作者というのは、きまって土か泥を
手近に備えていたもののようである。通例地は水から分れ出たことになっている。最も簡....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
持って居る。 丁度私が其の不調和なヤコフ・イリイッチの面構えから眼を外らして、
手近な海を見下しながら、草の緑の水が徐ろに高くなり低くなり、黒ペンキの半分剥げた....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
す。 公子 (頷く)まあ、今の引廻しの事を見て下さい。 博士 確に。(書を披く)
手近に浄瑠璃にありました。ああ、これにあります。……若様、これは大日本|浪華の町....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
と、お帽子お外套というも極りの悪い代ものが釦で棚へ入って、「お目金、」と四度半が
手近な手函へ据る、歯科のほかでは知らなかった、椅子がぜんまいでギギイと巻上る……....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
lvanus P. Thompson. 伝も研究も大体出ておる。これが今日で最も
手近な本である。ただ文章が巧みだとか、平易だとかはいい難いかも知れない。 第五に....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
垂れ下った猿麻※がしろじろと見ゆるばかりである。長く下ったものは一尺余りもある。
手近の杜松の枝などから毟り取って見ると、すぐに其処へ捨てようと云う気になれない。....