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手近い
「手近い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手近いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河童」より 著者:芥川竜之介
となどに憤慨したりするのは感傷主義ですよ。」
こういう問答を聞いていたゲエルは
手近いテエブルの上にあったサンドウィッチの皿を勧めながら、恬然《てんぜん》と僕に....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
労を感じていたので、早く一杯やりたかった。そこで、あまり馴染《なじみ》ではないが
手近いところで酒場ペチカの扉を押して入った。 大入満員だった。相変わらず下級の....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
長と自由とのために、愛によって外界から奪い得るものの凡てを奪い取ろうとする。愛は
手近い所からその事業を始めて、右往左往に戦利品を運び帰る。個性が強烈であればある....
「黒白ストーリー」より 著者:杉山萠円
大きなブラシを一つ買って釣銭を貰った。表へ出てホッと一息した。そのブラシを持って
手近い横路地へ這入って帽子、上衣、ズボン、靴まで綺麗に払った。ブラシを尻のポケッ....
「或る精神異常者」より 著者:田中早苗
この結論からおして、その起こるべき事故をみまもるという決心をするのは、きわめて
手近い一歩なのだ。 「毎晩でかけよう」と彼は心にきめた。「あの曲乗りの男が頭蓋を....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
を見せて、低く幾筋も放射している、脈と脈との間には、谷川が幾筋となく流れている、
手近いのが広河内、一と山越えてその先のが荒川、最も遠いのが能呂川に当るのである、....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
海を好かぬかという事を了解するに及んで、この節はあまり誘わなくなったので私は最も
手近い水難から救われたのである。 全くの処、細君の水泳を砂地の炎天できものを預....
「死者の書」より 著者:折口信夫
たちが、いまだにいきり立って、そうした風儀になって行く世間を、呪いやめなかった。
手近いところで言うても、大伴|宿禰にせよ。藤原|朝臣にせよ。そう謂う妻どいの式は....
「西鶴と科学」より 著者:寺田寅彦
はないかという気がする。 こうした外国仕入れの知識は何といっても貧弱であるが、
手近い源泉から採取した色々の知識のうちで特に目立って多いものは雑多なテクニカルな....
「雑感」より 著者:寺田寅彦
ない事は恥でも何でもない。分らない事を分ったような顔をするほど恥ずべき事はない。
手近い実例の人を動かす力は偉大なものである。そういう意味で、教師は時々は我邦の科....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
ら怒った。 (汝、猿廻しめ、人もなげな! 遠く逃げ延びて隠れればこそ、このような
手近い所にいて、火まで燈して平然としているとは! 見おれ、こやつ、どうしてくれる....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
ころでなく、以前には、もっと屡、そう言う宗教心を衝激したことがあったようである。
手近いところでは、私の別にものした中将姫の物語の出生なども、新しい事は新しいが、....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
を利用して、俺の衣嚢から掏ったに違いない。これは俺たちの思っているよりもいっそう
手近い処で吾々を監視している者があり、かつそれが一流の玄人だと言うことを証明して....
「座右第一品」より 著者:上村松園
から描き集めたものですし、それに今なお時折り何彼と参考に開いて見ますので、画室の
手近いところに置いてありますの。ですから今のように、イザ火事だという咄嗟の場合に....
「俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
むずかしいものでなく、無造作にできるものであることを明らかにするために、もっとも
手近い例としてこういう句作を試みてみたのであります。いい句を作ってお目にかけたの....