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「打出し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

打出しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
じらしく見えた。彼はきっと来ると約束して別れた。 橋の袂へ来ると、芝居小屋では打出しの太鼓がきこえた。早く閉まった観世物小屋では、表の幟を取り卸しているのもあ....
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
幕で紛失した宝物を、一日掛って詮議を致し、夕方には屹度出て、めでたし/\と云って打出しになりますから、皆様も御安心でお帰りになりますが、何も御見物と狂言中の人と....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
も、お米が身に関する故をもって、むしろ情において激せざるを得なかったから、言下に打出して事理を決する答をば、与え得ないで、 「都を少しでも放れると、怪しからん話....
黒百合」より 著者:泉鏡花
俯伏になった。 「どうしたならどうしたと聞くさ、容体はどうです目が見えないか、と打出して言えば可い。何だって、人を試みるようなことをして困らせるんだい、見えない....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ね」と、小柳は煙草入れを取り出してしずかに一服すった。 隣りのおででこ芝居では打出しの太鼓がきこえた。ほかの芸人たちも一種の不安に襲われたらしく、息を殺して遠....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
《かつらがわ》連理柵《れんりのしがらみ》の帯屋から桂川の心中までを演《や》った。打出してから帰ると、もう夜半であった。座頭は三升《みます》大五郎(四代)という京....
初冬の日記から」より 著者:寺田寅彦
通りかかって、それでもう大体の道具立ては出来たようなものである。これでこの芝居は打出してもすむ訳である。 それではしかし見物の多数が承知しないから最後の法廷の....
マーカス・ショーとレビュー式教育」より 著者:寺田寅彦
いことが肝心である。もう一杯というところで膳を取り上げ、もう一と幕と思うところで打出しにするという「節制」は教育においてもむしろ甚だ緊要なことではないか。この点....
二科展院展急行瞥見」より 著者:寺田寅彦
さをもっている。これらの絵はみんな附焼刃でない本当に自分の中にあるものを真正面に打出したものとしか思われない。これに反して今時の大多数の絵は、最初には自分の本当....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
る。坊ちゃんは打出の小槌を持って来る。そして無心で、いろいろの宝を、その小槌から打出しては、それを惜しげもなく鶴見に贈る。こういう考が鶴見の心の隅の、どこかの曲....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
、鏨は自由だから、蔓も、葉も、あるいは花もこれに添う。玉の露も鏤む。 いずれも打出しもので、中はつぎのないくりぬきを、表の金質に好配して、黄金また銀の薄金を覆....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
から能く知らないが、この盛綱は千秋楽の日まで満足には演了されないで、いつも中途で打出しになったという噂であった。したがって、盛綱の方は観客に十分認められず、十次....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
かった。 けれども、彼女も若い娘である。流石に胸一杯の嫉妬と怨恨とを明白地には打出し兼ねて、先ず遠廻しに市郎を責めているのである。自分が折角見舞に来た※の問題....
すみだ川」より 著者:永井荷風
ぼんやりしていた事などを息もつかずに語りつづけた。 次の間《ま》の時計が九時を打出した時突然|格子戸《こうしど》ががらりと明いた。その明けようでお豊はすぐに長....
三稜鏡」より 著者:佐左木俊郎
われるのであった。遣瀬の無い焦燥が全身を駈巡って、心臓が熱く激しく急速度の動悸を打出して来る。同時に頭部が沸って来る。続いて眩暈が来る。私はそして、何時の間にか....